木村カエラさん(撮影/写真映像部・高野楓菜)
木村カエラさん(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 ポップでカラフルでポジティブ。いつもエネルギーに溢れ、まわりを笑顔にさせる――そんな明るいイメージを強く抱くのが、歌手の木村カエラさんだ。普段の生活では、細かいことまですべて関わりたくなる、自称・完璧主義。考えすぎて「物事をネガティブに捉える」こともあると言う。コロナ禍でライブやイベントなど大好きな歌を披露する場が減っていく中、どんな思いを抱え、どう消化していったのか。プライベートでは2児の子育て中で、「働く母の罪悪感」を抱えることもあるという。木村カエラ流の楽しく生きる術を聞いた。

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――なかなか収束しないコロナ禍を、どのように過ごしてきましたか。

 ここ2、3年は、人と会えなかったり、ライブができなくなったりという変化の中で、自分にとって本当に何が一番大切なのか、何が必要ないのか、自分がどうやって生きていけば幸せなのかを考える時間になりました。

 例えば、今までは毎日会社に行くことが当たり前でしたが、それが「必要なかったんじゃないの?」とみんなが気付いたように、無駄をそぎ落とすことで感覚的にはすごく楽になった気がするんですよね。私も打ち合わせをリモートにしたりして、家族といる時間が長くなり、なんて幸せなんだろうって思いましたし、本を読んだり、空を見上げてあの星は何だろうと考えてみたり、インプットの時間も持てました。

――3年5カ月ぶり11枚目のオリジナルフルアルバムとなった「MAGNETIC」(12月14日発売)で、作品に込めた思いを聞かせてください。

 コロナ禍のそんな時期にアルバム作りが始まり、ずっと頭の中でぐるぐる回っていた「コラボ」という言葉を、ある日「MAGNETICだ!」と落とし込むことができました。人生は磁石のように引き寄せあったり、反発することもあったり、運や出会い、人と会う・会わないも含めて自分の意思で選択することができる。私にとっては、人と関わることができなかった時間があったから、自分自身を前に進めていける人たちと一緒に楽しい音楽をすることが本当に必要。「外に出られない!」「全部止まっちゃった、何なの!」ってネガティブに考えているのは良くないなと、自分を切り替えて行き着いたアルバムですが、改めて自分で聞いていると、これまでに比べてネガティブな曲もあると感じます。

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基本的には「ネガティブ」