木村カエラさん(撮影/写真映像部・高野楓菜)
木村カエラさん(撮影/写真映像部・高野楓菜)

――今回のアルバムの中にも、お子さんとのエピソードがある曲もありますか?

 私がメロディーを口ずさんでいると、子どもがすぐに覚える曲があるのですが、そういう曲は子どもにもわかるような歌詞にしますね。今回のアルバムでは「MAGNETIC feat.AI」という曲がそうでした。子どもが好きな濁点とか言葉の繰り返しを意識して、「ビビビッときたわ」という歌詞に変えました。完璧主義な私は、子どもの発想や書くものがめちゃくちゃ羨ましいし、いいな、楽しそうだなと思って見ています。

 大変なときもありますけど、朝からくだらない話をして笑ってるとか、家族でいる時は特に楽しいことがすごく大事だと思っています。些細なことを日々忘れないように過ごしてます。

――素敵です!

あれ、なんかすごく良いお母さんみたい(笑)。

――インスタグラムで洗濯物の山をアップしているのも、すごく共感します(笑)。ポジティブに変換するのも、楽しむための努力ということなんですね。

 普段の私は黒い服が多いし、ネガティブな土の中に常に潜っている人間なのですが、その影があるから光が見えるし、努力して楽しいことを選んで光にたどり着くっていうイメージがあるんです。常に笑顔でいることは普通に考えて無理だけど、いかに上手に変換して幸せだと思えるか、一生懸命生きてると自分を認めて褒めてあげられるかが大事だと思っています。人に頼っていても何も変わらないし、結局自分のことは自分でどうにかしなきゃダメだと思った経験が多くて。

■「大人なんか!」という反抗期

――歌手になるという夢を叶える過程で、ですか。

 そうですね。小さい頃からどうやったら歌手になれるのか、バンドがやれるのかしか考えてなかったんです。でも、ファッションモデルとして名前が表に出るようになっても、毎日スタジオに通ってデモテープを作って、レコード会社に持っていっても、「モデルでしょ」って全然相手にされない。今までの人生を否定されたような気分になって、「大人なんか!」という反抗期が24歳ぐらいまで続いていました。

 もちろん、そこで助けてもらった人たちのおかげで今があるのですが、どんなに人に攻撃されても、けなされて否定されても、自分を持ち上げるのは自分だったし、そうじゃないと夢を叶えることも、日々の幸せな生活を手に入れることもできない。他人は他人、ここで負けちゃ駄目って繰り返してきた感じです。だから期待もしないし、自分で叶えようと思っています。

次のページ
「あっち行ってて」息子の反抗期に寂しさも…