楽天・松井友飛(写真提供:東北楽天ゴールデンイーグルス)
楽天・松井友飛(写真提供:東北楽天ゴールデンイーグルス)

■3位:松井友飛(楽天・投手・2021年ドラフト5位)

 穴水高校時代は全く無名の投手で、金沢学院大で大きく成長。長身から投げ下ろす150キロを超えるストレートが評価され、昨年のドラフト5位でプロ入りを果たした。1年目の今年は二軍で15試合に登板して6勝1敗、防御率1.17という見事な成績を残すと、10月に行われたファーム日本選手権でも先発として6回2失点と好投し、優秀選手賞も受賞した。大型で沈み込みの小さいフォームは外国人投手を彷彿とさせ、ボールの勢いも申し分ない。大学時代に課題だった制球力も確実に向上している。チームの若手では数少ないスケールの大きい先発候補だけに、来年は開幕ローテーション入りを目指したい。

■2位:渡辺陸(ソフトバンク・捕手・2018年育成ドラフト1位)

 神村学園では羽月隆太郎(広島)と同学年でチームは2年夏に甲子園出場したものの、渡辺自身はベンチ外だった。2018年の育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。2年目までは二軍での出場もなかったが、3年目の昨年に大きく成長し、8月に支配下登録を勝ち取る。そして今年はセ・パ交流戦で一軍初昇格を果たすと、プロ初先発となった5月28日の広島戦では2打席連続ホームランを含む3安打5打点の大活躍を見せた。下半身が強く、バランスの良いスイングで軽く振っているようでも飛距離の出る打撃は大きな魅力。FAで嶺井博希が加入したことで競争はさらに激しくなるが、打撃に関しては他の選手よりも一歩リードしている印象を受ける。場合によっては他のポジションでの起用もぜひ検討してもらいたい。

■1位:宇田川優希(オリックス・投手・2020年育成ドラフト3位)

 大学4年時に調子を落としたことで育成3位という順位となったが、仙台大時代からスケールの大きさには定評のあった大型右腕。2年目の今年は7月に支配下登録されると、シーズン終盤には中継ぎの一角として一軍に定着。クライマックスシリーズ、日本シリーズでも抜群の投球を見せ、その存在をプロ野球ファンに強烈に印象付けた。150キロ台中盤のストレートとブレーキ抜群のフォークで三振を奪えるのが大きな魅力。既にブレイクしているとも言えるが、一軍デビューが8月だったということでまだ新人王の資格を有している。シーズン後半の投球を1年通じて見せることができれば、タイトル争いに加わってくる可能性も十分にありそうだ。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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