もっとも、その投手陣もこの9月に入って、月間チーム防御率4.30と苦しんでいる。チーム最多タイの8勝をマークしている高橋奎二、6月に支配下登録され7月からはローテーションの一角を任されてきた小澤怜史の2人を新型コロナウイルス陽性で欠く先発陣に限れば、月間防御率は5.14。先発投手が5回を持たずにマウンドを降りることも少なくない。

 それでもマジックを6として迎えた9月21日の中日戦では、42歳の大ベテラン、石川雅規が6回途中まで2失点と試合をつくった。4回にドミンゴ・サンタナの3ランで逆転すると、2番手の石山泰稚以下、3人の救援陣が相手打線に得点を許さず、冒頭のとおりマジックは4まで減った。

 今シーズンは7月に、高津監督のほかキャプテンの山田哲人、リードオフマンの塩見泰隆、正捕手の中村悠平、中継ぎの切り札的存在の田口麗斗に前述の清水など、多くの主力選手がコロナ陽性で同時期に離脱するという、不測の事態もあった。史上最速で点灯したマジックは後半戦早々に消えたまま、8月下旬には2位のDeNAに4ゲーム差まで猛追されたこともある。さまざまな苦難をチーム一丸で乗り越え、今日、9月22日からの神宮4連戦で、一気にゴールテープを切ることができるか。(文中の今季成績等は明記があるものを除いて9月21日終了時点)

(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。