がん放置療法の近藤誠医師死去 かつて語った「一人の意見は『抗がん剤をやめさせる』根拠にはなる」

がん

2022/08/15 12:39

近藤誠医師
近藤誠医師

『患者よ、がんと闘うな』などの著者として知られる近藤誠医師(73歳)が亡くなった。近藤医師の著書『医者に殺されない47の心得』(2012年刊)がベストセラーとなっていた2013年に、『週刊朝日』ではその科学的根拠をめぐる検証記事を企画し、複数の専門医と近藤医師(当時・慶応大学放射線科講師)に取材を敢行していた。がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん--。そんな過激な主張を繰り返していた近藤医師は、学術的な論文などではなく、もっぱら一般向けの書籍や雑誌でしか主張を発表してこなかった。その理由はどこにあったのか? 当時の記事(週刊朝日2013年6月21日号、28日号)から抜粋して振り返る。

【現役医師アンケート】医師ががんになった時、選ぶ治療法とは?

*     *  *

 近藤医師は1980年代から、「がんを見つけたら手術や抗がん剤治療をしたほうがいい」という通念に誤りがあると指摘してきた。その主張は、がん放置療法と呼ばれ、医師任せだった患者に「医師を疑う」視点を喚起させた。しかし、科学的根拠を重視する医学界からは相手にされてこなかった。

 それゆえか、持論を学会の論文などではなく、一般向けの書籍や雑誌でしか発表してこなかった。

「かつては学術的な論文を投稿していたが、医学界は何も変わらなかった。医学界にものを言ってもダメだという悲観がある。一般向けに発表したほうが、効率的に私の主張を発信できるからね」

 と、近藤医師は話す。

『医者に殺されない47の心得』の中で近藤医師は「がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん」「がん検診は、やればやるほど死者を増やす」と説いていて、その論の根幹として、「抗がん剤の臨床試験には人為的操作が入っている」といった問題点を挙げている。

「これまでの僕の本では、肝心なところは根拠となるデータを示していたけど、一般の人には読みにくいでしょう。だから今回(の『医者に殺されない47の心得』)は、結論だけ書いてある。いちいち論文根拠は示さない。そうするとわかりやすくなる。それは執筆にあたって工夫したところで、それゆえに読者の支持を得ているわけ」(近藤医師)

NEXT

なぜ自ら新しいデータを提唱しないのか

1 2

あわせて読みたい

  • 近藤誠医師「がんもどき理論」と『白い巨塔』モデル医師が直接対決

    近藤誠医師「がんもどき理論」と『白い巨塔』モデル医師が直接対決

    週刊朝日

    9/13

    『白い巨塔』モデル医師 「根拠なき“がんもどき理論”を撤回せよ」

    『白い巨塔』モデル医師 「根拠なき“がんもどき理論”を撤回せよ」

    週刊朝日

    8/10

  • 池田早大教授「がんは放置するのが一番いい」

    池田早大教授「がんは放置するのが一番いい」

    週刊朝日

    5/12

    『白い巨塔』モデル医師 「がん放置療法」めぐり近藤誠医師と大激論

    『白い巨塔』モデル医師 「がん放置療法」めぐり近藤誠医師と大激論

    週刊朝日

    9/17

  • 池田清彦早大教授 「がんを治療せず放置する」メリットを語る

    池田清彦早大教授 「がんを治療せず放置する」メリットを語る

    週刊朝日

    7/13

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す