化粧まわしも相撲は割と自由だけど、色に関してはプロレスの方がうるさいね。俺がプロレスに転向して一番最初に会社(全日本プロレス)で言われたのが「赤は馬場さんが使っているからダメ」だ。さすがに俺が赤を使ったら、馬場さんへの挑戦状だもんね(笑)。

 俺の中で、馬場さん以外にプロレスラーで「この人と言えば、この色」というのは、輪島大志さんとハルク・ホーガンの金色だね。ミル・マスカラスは日本にくると、十何試合あるとその分のマスクとタイツ、シューズを用意していたけど、その分「マスカラスと言えばこの色」という印象がないんだよね。今のレスラーはプロレスが好きでプロレスラーになっているけど、俺たちの時代は職業として選んだということもあって、選手をカラーで見る習慣がないんだよね。俺と同世代のレスラーはみんなそうだと思うよ。

 俺が今、色について興味があるのは車かな。運転免許は返納しちゃったけど、年を重ねた人が黄色とか真っ赤なポルシェに乗っているのを見ると「粋だな」と思うもんね。俺の今の願いは、娘に真っ赤なポルシェを買ってもらうこと。その横に乗せてもらって、一緒に近所のスーパーマーケットに買い物に行くんだ。どうだ、粋だろう!(笑)

(構成・高橋ダイスケ)

天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。

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天龍源一郎

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天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。

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