患者は遠方から来ている人が多いこともあり、最初に診てもらっていた病院などでこうした術前治療を受けてもらう。

 1クールとなる約3カ月の治療後、再度、来院してもらいCTを撮影。その結果、がんが小さくなっていたり、血管から離れて取りやすい位置になっていたりした場合、4週間後をめどに手術をする。

 「化学療法の後、結果的に約2割が実際に手術にもちこめる状況です。逆に進行して広がってしまった場合は、手術ができません。残念ながらがんの中でもたちの悪いタイプはこのような経過をたどります。それでも、まずは、やってみることが大事なのです」(同) 

 手術の可能性を探るのであれば、中尾医師のような医師のところに行くしかない。その数はまだ、十分ではないが、膵がんの全国ランキングに入ってくる病院にいることは確かだ。

 「すべての医師がそうではないので、断られることもあると思います。が、納得できる答えが見つかるまでは、あきらめないことが大事です」(同)

(文/狩生聖子)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』より