ダイエットの成果は確実に数字になって表れる。「やればできる自分」を実感して達成感が得られるだけでなく、「やせてきれいになったね」と周囲から評価されれば、自信がつく。鈴木医師は言う。

受験や学校、仕事、恋愛など人生でストレスや挫折を感じたときに、手っ取り早く自信をつけようとして極端なダイエットに走り、ストレスから逃れるようにダイエットに没頭するなかで摂食障害を発症している可能性があるのです」

 さらに先進国、都市部、高難易度の学校ではそうでない場合よりも患者数が多いという事実からも、

「ストレスがかかわっていることは明らかです」

 と鈴木医師は話す。

 近年は体形や体重に関心を持ち始める年齢が下がり、摂食障害の発症も低年齢化している。前出の河合医師は言う。

「小学校高学年くらいの患者さんも珍しくなくなりました。とくに10代の割合が増えています」

 成長期に低栄養が続くことで、生理が止まり、背が伸びなくなる。将来的に骨粗鬆症や、脳の機能が十分に働かなくなる可能性もある。河合医師はこう続ける。

「若い世代は家族や友人、勉強、将来など、大切なことがたくさんあるはずです。それらに興味がなくなり、一日中体重や食べ物のことばかり考えたり、食べ吐きに時間を使うのはもったいない。一人では治りにくい病気なので、早く医療につながりそのサポートを受けながら、もっと人生を楽しんでほしいと思います」

(文・谷わこ)

週刊朝日  2022年3月4日号