「惜敗率20%ほどで当選するんですからね。わが党の候補者ですからありがたいと思いつつも、小選挙区で完敗。国会議員のバッジをつけて大丈夫かと正直、疑問もありますわ」
こう話すのは、日本維新の会徳島総支部の幹事長で、徳島市議の岡孝治氏だ。衆院選で改選前の4倍近い、41議席と大きく伸ばした日本維新の会で、一番最後に比例復活当選が決まった徳島1区から出馬した吉田知代氏を支援した。
徳島1区は無所属の仁木博文氏が9万9千票あまりを獲得し小選挙区で当選。2位の自民党、後藤田正純氏も約7万7千票、敗率77.8%で比例復活を果たした。吉田氏は3位で約2万票、惜敗率は20.1%しかとれなかった。
だが、維新が大躍進する中で、四国ブロック比例1議席を得て、吉田氏が当選者となった。比例復活当選となるには、公職選挙法の規定により、小選挙区での得票率が規定の10%をクリアしなければならない。吉田氏は、あと200票ほど少なければ、規定に届かず、まさに「薄氷の復活当選」だった。徳島1区では仁木氏、後藤田氏、吉田氏と全員が衆院議員になった。
ちなみに過去の衆院選の候補者で最も低かった惜敗率は(後日に繰り上げ当選となった例をのぞけば)19.95%だ。
吉田氏の数字は小選挙区比例代表制がはじまって以降、2番目に低い惜敗率での復活当選となった。
当選後、吉田氏は低かった惜敗率について会見で問われると「活動期間が短いのがひとつ要因。知名度がまだまだ認知されず難しかった」と述べた。だが、衆院議員としてバッジを得たことには変わりない。
そこで、小選挙区落選者の惜敗率と比例復活当選者の関係を政党別にグラフにまとめてみた。
今回、全国289ある小選挙区のうち213の選挙区で野党が候補を一本化し、一騎打ちの構図となり、各選挙区で競り合う展開となった。
グラフからもわかるように自民党の場合は、大半が70%台の惜敗率を確保しなければ、比例復活当選は難しい。