本線の終着はポルトガル・リスボン・サンアポローニャ駅。大きな車輪止めが終端を象徴しています。しかしまだ近郊列車があって、最西端への旅は続きます(撮影:大木茂)
本線の終着はポルトガル・リスボン・サンアポローニャ駅。大きな車輪止めが終端を象徴しています。しかしまだ近郊列車があって、最西端への旅は続きます(撮影:大木茂)

■「大衆写真」にこだわった展示

 大木さんの旅は、単なる鉄道旅ではなく、途中下車して人々の生活に分け入り、古代遺跡を訪ね、時空を超えた旅となった。

「非常に広い範囲を訪れて、撮影したテーマも非常にバラバラ。そうするとね、写真を並べただけだと、分からないんじゃないかな、と思って」

 そう言って、会場に全長48メートルのプリントを展示し、そこにたくさんの写真や文章をはめ込んだ理由を説明する。

「文字数を数えたら5万字くらいあるんだよ。薄い文庫本くらいある。ちょっとしゃべりすぎ、みたいなところはあると思うけど」

 大木さんは、小説に「純小説」「大衆小説」があるように、写真にも「純写真」「大衆写真」があるという。

「例えば、奈良原一高さんや森山大道さんらの写真表現は、ある意味、わかりずらい。文章を拒否するような『純写真』。ところが、ぼくがやってきたのは『大衆写真』なんだね。雑誌のグラビアだったりさ。そういうところで仕事をしてきたから、写真と文字というのは常に一体というか、文字で背景を語って写真を見てもらうことも大切だと思っているんだよ」

アサヒカメラ 米倉昭仁)

【MEMO】大木茂「ぶらりユーラシア」
オリンパスギャラリー東京 11月11日~11月29日