「当院は東京都の計画では軽症から中等症に対応するべき病院群に分類されております。病院は200床に満たない施設でマンパワーに限りがあり少人数のローテーションで対応しておりますので、人工呼吸器が必要な重症患者が1名いるだけでも、途端に病棟管理への影響が大きくなります。重症患者のすべてを高次施設で対応することは難しい状況ですので、当院での治療が可能な限り人工呼吸器を用いるような症例にも対応の努力を続けて参りました。9月になっても人工呼吸器を用いる重症患者は4例に及びます」

「また当院では少数にとどまってはおりますが、スタッフの感染者数や濃厚接触者による人員減少の影響は大きいと思われます。病床利用率も指標の一つですが、感染状況を鋭敏に反映しておりますし、患者重症度や、人員数など様々な不測の要素があり、日々変動しています」

「なお、病床利用についてですが、多床室で男女混合はできない、重症度によって利用できる病床が限られる、清掃消毒などにより使用不能な時間がある、など様々な避けられない理由で一定の病床が利用できなくなるため、8―9割以上のベッドが常時稼働することは現実的ではありません。ベッド稼働が9割に達した今回の8月後半は非常に厳しい状況であったと考えられます。病床利用率だけで、行われている医療の状況を判断するのではなく、多角的な見方を要するように思います」

 補助金の返還などを考えているかの質問については、「不適切な補助金は返還します」と回答した。

 コロナ患者を受け入れていない病院に対して、東京都医師会はどのような見解なのか。尾崎治夫会長に「使われていない病床が約2千床あること」、「空床のまま医師会構成員の医療機関に補助金が入ること」の見解を尋ねた。(尾崎会長の病院はリストに記載されていない)。

 すると、「(空床について)東京都からデータをもらっていないのでわからない」、「医師会構成員という言葉がわからないので、回答は控えたい」と広報担当を通じて回答が来た。

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専門家は「厚労省の制度設計に問題」