日本代表での活躍も期待したいFC東京の小川諒也 (c)朝日新聞社
日本代表での活躍も期待したいFC東京の小川諒也 (c)朝日新聞社

「負けるべくして負けた」。キャプテンの吉田麻也が試合直後のインタビューで吐き出した言葉は、“負けられない試合”と題された試合を観戦した多くの者が抱いた感想そのものだっただろう。

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 カタールW杯アジア最終予選の初戦に挑んだ日本が、“格下”オマーン相手に黒星スタート。雨の中で試合のテンポを上げられず、VARによるPK取り消しで救われたにも関わらず、試合終了間際にゴールネットを揺らされて0対1の敗戦。相手の出足の良さ、運動量、気迫、一体感で大きく下回り、シュート数は10対13。コンディションの差だけでは片付けられない“完敗”だった。

 改めてこの日のスターティングメンバーを振り返ると、11人中6人が30歳以上で平均年齢は29.7歳だった。本来ならばここに26歳の南野拓実と22歳の冨安健洋が加わり、23歳の堂安律と20歳の久保建英も絡んで来るが、それでも決勝戦でカタールに1対3と完敗した2019年のアジア杯とほぼ同じメンバー。年齢的に現状維持はあれども大幅な成長は見込めず、チームとしての停滞は明らかだ。森保一監督はこの日のメンバーに「安定感」と「安心感」を求めたが、結果としては逆効果。新鮮味のないメンバーに躍動感は見られず、エネルギー不足の戦いに終始することになった。

 ここで求められるのは、やはりチームを活性化できる新戦力であり、カタールW杯の本大会を見据えても各ポジションでの世代交代は必須だ。FW陣では、26歳の古橋亨梧を左サイドではなく中央で使うことが最も即効性があるだろう。その他、追加招集された25歳のオナイウ阿道だけでなく、昨季ベルギーリーグで17得点を奪った25歳の鈴木優磨、怪我明けで東京五輪では本領を発揮できなかった23歳の上田綺世、同じく不完全燃焼に終わった23歳の前田大然といった面々を、早急にA代表に組み込むことにトライすべきだ。「大迫勇也の1トップ」にはすでに限界が見えており、いよいよ“脱・大迫”を決断する時が来たと言える。

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中盤で“必要”な新戦力は…