青木さやかさん(撮影/写真部・張溢文)
青木さやかさん(撮影/写真部・張溢文)

――手術後にやりたいと思ったことはありますか?

 あれもやりたい。何でもやりたいと考えるようになりました。「はい、わかりました」というように生きていると、目の前に来たことを「わかりました」といって全力でやっている感じです。それで、本を書きました。もっと書いてみたいと思っています。あと、私、勝海舟に似ているなと思っていて。

――勝海舟ですか?

 勝海舟は「我なし」の考えで、「はい、わかりました」と言いながら、生きてきた人だと知りました。一方で「はい、わかりました」と言いながら、マイナスになると思ったら、やらないときもあるんです。だから、そういう意味では、より勝海舟に近づきたいと思っています。その他にもやりたいことはあります。あるアーティストや芸人さんの復活です。裏からどうにかならないかな、と思ってそっとやっています(笑)。そういう意味では坂本龍馬にもなりたいです。薩長同盟のように、裏で動きたいです。

――表舞台には出ないのでしょうか?

 私は自分の意見がないんです。でも、誰よりも意見があるように見えるんです。だから、困っちゃったなぁ、みたいな。正直に言うと、自分が表に出たいという人間ではないんです。

――昔はテレビでよくキレて、それが人気となり、目立っていました。
 ありがとうございます。不満や、嫉妬や、憤り、「負」の感情をエネルギーにしていたと思います。多くの方に笑って頂いて有難いです。今は、「負」をパワーにすることはもうできないと思います。キレるのは体に良くなさそうです(笑)

――がんを告知された方、闘病中の方に伝えたいことはありますか?

 やはり安心できるお医者さんとか仲間とかをそれぞれの人がそれぞれに探せばいいんだと思っています。命を預ける人も病院も考え方も、選択できるものだと思っています。ネットで私が見たものの中で心を明るくしてくれるものはなかったです。生存率とか書いてあったりするじゃないですか。例えば、生存率95%とあったら、私は5%のほうに目がいく性格だった。そうなると、気分は晴れませんから。出ているデータは統計に過ぎないと思っていたほうが、私にとっては楽でした。自分にあったものを選択して見ていったらいいと思っています。だから、惑わされなくていいと思います。

(聞き手=AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

次のページ