青木さやかさん(撮影/写真部・張溢文)
青木さやかさん(撮影/写真部・張溢文)

――生き方を変えたというのは?

 2年前、母がいよいよという時期になって、仲直りしようと思ったのもそうですし、人との向き合い方もそうです。よほどのことがない限り、人に対して反論はしません。「はい、わかりました」といって、全部聞きます。以前は仕事でも何でも、「でも、こうしたほうがいいんじゃないか」みたいな気持ちがあって、「でも、でも、でも」と言って、「でも」ということが口癖だったと思います。それを「はい、わかりました」に変えました。8割「でも」と言っていたのを、8割「はい、わかりました」に変えたイメージですね。

――なぜ反論することをやめたんですか?

 病気になったことで、見直せることは見直そうと思ったんです。簡単に言うと、自分がストレスに感じていることは何だろうと。一番大きいことは人間関係だったんです。人間関係を変えようと思ったときに、相手を変えることは大変に難しい。自分が変わろうと思いました。人間関係がよくないことはすごく辛いことじゃないですか。私にとっては大きなことだったので、そこを改善しようと思いました。

――ストレスが病気につながる、ということですか?

 がんになって怖かったのは、病気そのものよりも、「またがんになるかもしれない」とか、そういう不安だったんです。不安は人生をおかしくしていくんです。だから、自分の不安要素を少しでもなくすことを毎日心がけています。「はい、わかりました」というのもその一つですね。そうしていてもがんになるかもしれませんが、そうした不安から病気をつくっていくんじゃないかなと思えてしまって。

――昔の尖っていたイメージからはだいぶ変わりましたね。

 そうですね。だいぶ違うと思います。楽して変わるというのは私にはできない。30度変えても、100度変えても私は楽にならなかったので、180度変えることをやっています。でもそれが私の心にとって一番楽になる方法だと思っています。尖っていたのは、私が弱かったんだと思います。弱いから、わかってほしいということで、「でも、でも」って言っていたんでしょう。でもそれは決して強さではなくて、今の方がよっぽど強いと思う。それは相手から受け入れてもらえているからです。徐々に強くなっていけているという感じがします。

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