写真はイメージ/GettyImages
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「醍醐味」はチーズのような味、「くわばら、くわばら」は地名のことを言っている……普段何気なく使っている言葉の「真実」を明らかにします。現在2021年7月号が発売中の朝日新聞出版『みんなの漢字』から紹介。※監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)

【「湯湯婆」ってなんて読む?読めそうで読めない漢字たち】

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Q 「世論」の読みは 「よろん」? それとも「せろん」?
A もともとは「輿論」と書いて「よろん」と読んだ

 神輿(みこし)の「輿」は、「みんなで力を合わせるさま」「みんな」という意味があり、大衆のさまざまな論議を「輿論(よろん)」といいます。しかし、1946(昭和21)年に使用する漢字の数を制限する目的で定められた「当用漢字」に「輿」が入らなかったため、「世」で代用することになりました。ただし、「世」は「せ」とも読むことから、「せろん」も定着し、今では両方とも国語辞典に載っています。

Q 「青二才」を「青二歳」と書いてもいい?
A 「二才」は幼魚の意味

 年齢を書く際の「歳」は、代用漢字の「才」を用いても間違いではありません。しかし、「青二才」を「青二歳」と書くのは間違いです。「二才」はボラなどの幼魚を表す熟語で、未熟という意味の「青」を加えて、経験に乏しい若い男性を表しています。また、青年を表す「新背(にいせ)」がなまって「二才」になったという説もあります。

Q 「みいら」を「木乃伊」と書くのはなぜ?
A 中国語で「木乃伊」が用いられていたから

 日本語の「みいら」は、ポルトガル語の「ミッラ」が由来です。一方、中国では英語の「マミー」に「木乃伊(ムーナイイ)」が当てられたなどの説があります。「みいら」と「木乃伊」が同じ意味なので、「木乃伊」を「みいら」と読むようになりました。

Q 「大盤振る舞い」の「大盤」って何?
A 椀に盛った飯を表す「椀飯」が変化した

「大盤振る舞い」というと、いかにも盛大な宴のイメージですが、もともとは「椀飯振る舞い」が正しく「おうばんぶるまい」と読みます。「椀飯」は、椀に盛った飯のことです。江戸時代には、正月などに親類を招く宴会を表す言葉として「椀飯振る舞い」が使われていましたが、のちに豪勢なイメージから「大盤」が当てられて定着したとされています。

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オランダ語で「たしなみのない女性」「手に負えない女性」