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スピード全盛の時代に“ひと際輝く” 「遅いストレート」で勝負する投手たち

西尾典文dot.
阪神・秋山拓巳 (c)朝日新聞社

阪神・秋山拓巳 (c)朝日新聞社

 野球界において、トレーニングの進化などによって確実に向上しているものの代表と言えるのが投手の投げるボールのスピードである。20年前はプロでもなかなかいなかった150キロ以上のスピードを現在では高校生がマークすることも珍しくなく、160キロが夢の数字と言われていたのもはるか昔の話となっている。しかしその一方でスピードはそれほどではないものの、プロで成績を残し続けている投手がいることも確かである。今回は高速化時代だからこそ逆に輝く、遅いストレートでも勝負できる投手をピックアップして紹介したいと思う。

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 現在、先発で遅いストレートでも勝てる投手の代表格と言えば秋山拓巳(阪神)になるだろう。プロ入り8年目の2017年に12勝をマークして先発の一角に定着すると、昨年もチームトップの11勝を記録。今年も開幕からローテーションを守り、首位を走るチームを支える存在となっている。そんな秋山のストレートは大半が130キロ台中盤から後半で、140キロを超えることがあっても1試合に数球程度。昨年オフのバラエティー番組では、同じ愛媛で高校時代同学年だったティモンディの高岸宏行(済美高出身)が始球式で記録した138キロよりも遅くて話題になっていたことを明かしたほどである。

 しかし4月8日の巨人戦では1球も140キロを超えることはなかったが、6回を投げて2失点、10奪三振と見事なピッチングを見せている。188cm、102kgという堂々とした体格とのギャップにまず戸惑うが、それ以上に素晴らしいのはやはりコントロールである。先発に定着してから昨年までの4年間の数字を見てみると、427回を投げて与えた四球の数は58。1試合、9イニングあたりに直すとわずか1.22の四球しか与えない計算となる。そしてカットボールとフォークのスピードが130キロ台とストレートとあまり球速差がなく、ボールの軌道も途中まで変わらないというのが大きな武器となっている。また時折混ぜる100キロ台のカーブで緩急を使うこともできる。一つ一つのボール自体は決して凄みはなくても、しっかりコントロールして丁寧に投げれば結果を残せるという良い見本と言えるだろう。


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