2020年2月のワールドツアーに挑む西堀健実(右)・溝江明香(左)組(写真提供・FIVB)
2020年2月のワールドツアーに挑む西堀健実(右)・溝江明香(左)組(写真提供・FIVB)
2020年1月から再結成して始動した西堀健実(右)・溝江明香(左)組(写真提供・FIVB)
2020年1月から再結成して始動した西堀健実(右)・溝江明香(左)組(写真提供・FIVB)

 東京オリンピックの正式種目で2018年9月からオリンピック予選レースがスタートし、コロナ禍によって一時中断されていたビーチバレーボール。他競技が続々と国際大会を開催していく中、2021年3月8日から12日、カタール・ドーハのカタラビーチで「FIVBワールドツアーカタラカップ」が開催された。コロナ禍において日本バレーボール協会がチーム派遣を許諾した初の国際大会となった。

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 同時期にカタール国内では変異株が発生。感染が拡大していく中、大会ではどのような感染対策が講じられたのか。また選手たち自身が感じた課題とは何か? 実際に出場した日本チームの声をもとに大会をレポートする。

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 およそ1年ぶりの国際大会。この時点では先々の国際大会がスケジューリングされていなかったため、世界のトップチームはこぞってドーハに集結した。日本からは当初女子8チームがエントリーしていた。しかし、アスリートトラックが一時停止していたため、帰国後2週間は隔離と活動停止が要される。多数のチームが次々にキャンセルする中、最終的には日本から西堀健実・溝江明香(ともにトヨタ自動車)組と二見梓(東レエンジニアリング)・長谷川暁子(NTTコムウェア)組の2チームが参戦した。

 この2チームにはカタールに行かなければいけない、お互い譲れない理由があった。出発の3日前に決意したという西堀は言う。

「リスクがたくさんあったので正直、すごく悩みました。けれど、代表決定戦の上位シード争いをしているチームが出場するならば、そこで自分たちが引くわけにはいかなかった」

 出場を決めたのはギリギリだったが、出国する準備はあらかじめ進めておいた。カタール政府からの特別入国許可、入国後一時隔離される滞在ホテルを示す書類などを揃え、出発48時間前のPCR検査をクリアし日本を旅立った。

 ハマド国際空港に到着後、入国審査で必要書類をチェックされ質問に受け答えした後、検査室でPCR検査を受け、滞在するホテルへ大会側が用意したバスで移動。外部との接触を完全に遮断する「バブル」と言われる隔離方式へ突入した。しかし、溝江はこの時点から不安がどんどん募ってきたと話す。

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「自分の身は自分で守る」