最終的にこの大会では、スイスの選手とアメリカ、ロシアのコーチに陽性反応が出たと国際バレーボール連盟は大会終了後、公式発表した。試合に出場する前に陽性だったスイスチームは初戦の試合を棄権している。

「主催者側は選手たちが安心して競技に打ち込める大会を目指していたと思います。だからこそ大切な情報はその都度展開していってほしいです。もちろんそれはワールドツアーだけではなく、国内の大会もそうです。それが今後の注意喚起につながるし、エビデンスとなって感染対策にも活用できると思います」。

 予選敗退後、無事に帰国の途につき自宅で2週間の隔離生活を送っていた西堀・溝江組。今後続いていくワールドツアーでの対策について、一語一句噛みしめるようにオンライン取材のインタビューに答えてくれた。

 西堀・溝江組は2016年のリオデジャネイロオリンピック出場の夢破れた後、別々のパートナーと東京オリンピック出場を目指していたが、2020年1月に再結成した。いざペアの連携を図っていこうという矢先、コロナ禍で活動自粛を強いられた。そんな西堀・溝江組に今大会の経験を通して得た収穫を最後に聞いた。

「コロナ禍で自分の弱さが見えました。きっとプレッシャーがかかる場面でも同じようなことが起きていたと思います。自分たちが決断して経験したからこそ、前向きにとらえて生かしていきたいと思います」(西堀)

 西堀・溝江組らビーチバレー選手たちの大一番となるのは2021年5月22日、23日に開催される「東京2020ビーチバレーボール日本代表チーム決定戦」。勝負のときはすぐそこまで迫っている。(文・吉田亜衣)

●吉田亜衣/1976年生まれ。埼玉県出身。ビーチバレースタイル編集長、ライター。バレーボール専門誌の編集 (1998年~2007年)を経て、2009年に日本で唯一のビーチバレーボール専門誌「ビーチバレースタイル」を創刊。オリンピック、世界選手権を始め、ビーチバレーのトップシーンを取材し続け、国内ではジュニアから一般の現場まで足を運ぶ。2021年5月、ビーチバレースタイルWEBサイトをリニューアル。動画、写真、インタビュー、速報ニュースなど中心に報道を行っている。ビーチバレースタイルサイト bvstyle.net