■広島「B」

 昨季8位のチームをベースにポイントを絞った補強。その最大にして唯一と言えるポイントが、1トップを務めるエースの“入れ替え”。昨季リーグ3位の15ゴールを決めたレアンドロ・ペレイラが流出し、その代わりに昨季途中に加入した横浜FMで22試合で13ゴールを決めたジュニオール・サントスを獲得したことだ。ともに190cm近い長身だが、ワンタッチゴールの多いレアンドロ・ペレイラに対して、ジュニオール・サントスは圧倒的なスピードとフィジカルで単独突破からのゴールが多い。この“違い”が、攻撃の組み立てにどのような影響を及ぼすか。まずはジュニオール・サントス自身がチームに馴染むことが大前提となるが、ハマればチーム自体がスケールアップできる可能性は大いにある。

 その他では、長身で競り合いに強さを見せる25歳のCB今津佑太(←甲府)、ドルブル突破が魅力で3年半のレンタル生活で力強さを増した東京五輪世代のMF長沼洋一(←愛媛)、さらに控えGKとして川浪吾郎(←仙台)、大卒新人のDF藤井智也(←立命館大)を獲得。藤井は昨季、特別指定選手としてすでに多くの試合に出場しており、引き続きの戦力として期待できる。レアンドロ・ペレイラ以外の主力クラスの退団選手がいない点は大きなプラスで、補強の数自体は少ないが、評価できるストーブリーグだったと言いたい。

■徳島「C」

 精度の高いサッカーでのJ2優勝から7年ぶりのJ1舞台へ。戦力アップを目指し、多彩な得点パターンを持つ将来有望な20歳のFW宮代大聖(←川崎)をレンタルで、スケールの大きいボランチとして昨季、急成長中した19歳のMF藤田譲瑠チマ(←東京V)を完全移籍で獲得。その他、将来性のある高卒選手4人と24歳のDF鈴木大誠(←琉球)を復帰させた。そして新外国人として21歳の長身ブラジル人CBカカの獲得を発表し、元U-21イタリア代表の肩書を持つMFバットッキオが獲得決定間近。両者ともにチームへの合流は遅れているが、必ずチームの戦力になってくれるはずだ。

 その中で最大の懸念が、2017年から4年間チームを率いてきたリカルド・ロドリゲス監督が“流出”したこと。代わりに、同じスペイン人で育成組織での豊富な指導経験を持つポヤトス氏を新監督として招聘することに成功したが、新型コロナの影響で来日が遅れ、監督不在のままキャンプがスタート。チーム作りの遅れは避けられない状況となっている。退団した選手はレンタルも含めて10人以上いるが、主力の流出はほぼない。戦力を維持した上で、新加入組をプラスアルファとしてチームに組み込むことができる点は大きなアドバンテージ。監督不在の逆境が、チームを成長させることもあるが、果たしてどうなるか……。

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福岡は旋風起こせる顔ぶれに?