「僕の作品は自給自足のようなもの」作家・道尾秀介さんが累計発行部数600万部突破記念スペシャルインタビューで明かした執筆の裏側 (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「僕の作品は自給自足のようなもの」作家・道尾秀介さんが累計発行部数600万部突破記念スペシャルインタビューで明かした執筆の裏側

道尾秀介さん(撮影/写真部・掛祥葉子)

道尾秀介さん(撮影/写真部・掛祥葉子)

道尾秀介さん著作累計発行部数600万部突破記念フェアに参加した10作品

道尾秀介さん著作累計発行部数600万部突破記念フェアに参加した10作品

 作家・道尾秀介さんの著書の累計発行部数が、1月7日発売の『風神の手』(朝日新聞出版)の刊行をもって600万部を突破する。それを記念して、文庫を刊行している版元10社(朝日新聞出版、KADOKAWA、幻冬舎、講談社、光文社、集英社、新潮社、中央公論新社、東京創元社、文藝春秋)が共同書店フェアを開催。そこで、大ベストセラー『向日葵の咲かない夏』や最新刊『風神の手』の文庫に解説を寄せ、道尾作品をこよなく愛するミステリ評論家の千街晶之さんを聞き手に、フェア参加の10作品を道尾さん自身に振り返ってもらった。前後編にわけて、お届けする。後編は、ホラーテイストの短篇集『鬼の跫音』から、その執筆活動の集大成と千街さんが絶賛する最新刊『風神の手』まで。

【フェアに参加した10作品はこちら】

※前編「【累計発行部数600万部突破記念!】作家・道尾秀介さん本人が明かす 少年が主人公の作品が多い納得の理由」よりつづく

*  *  *
■ホラーテイストの『鬼の跫音』

――道尾さんの小説の中でも、最もひんやりした印象の怖い連作です。

道尾:怪談にも近いし、ホラーと言ってもいいし、ミステリでもあって、他の短篇集には入れられない話ばかりです。ホラーはすごく好きなので、やるならここでやりつくしたかった。『向日葵の咲かない夏』のS君が頭の中に残っていたので、同一人物ではないけれど、時と場所を変えてSという人物が出てくる物語にしました。この本の収録作はどれもミステリとして理詰めで説明できます。「よいぎつね」だけは幻想譚……と評されることがあるんですが、あれも実は幻想でも夢でもなく、理詰めで説明できる読み方があるんですよ。そのへんも、是非読み解いていただければと思います。

――登場人物の誰をSにするかはどのように決めましたか。

道尾:物語のキーとなる人物ですね。でも主人公ではない。Sの心理は書かず、あくまで器であってほしくて、その中身を読者が埋めていくというかたちにしたかったんです。主人公の世界に大きな影響を与える、時には悪意に満ちた存在、時には自分のからだを犠牲にするほど主人公を愛している存在……いろんなタイプのSを書きました。


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