※写真はイメージです(GettyImages)
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 ポケット翻訳機やスマホの翻訳アプリなどが続々登場し、身近な場面でも使う機会が増えている自動翻訳技術。一昔前と比べると飛躍的に翻訳精度は向上しているが、誤訳や不自然な訳になってしまうこともまだあるのが現状だ。自動翻訳になるべく正しく訳してもらうためには、翻訳しやすい日本語を使うこともカギになる。現在発売中の『AERA English 2020 Autumn&Winter』では、理解しやすい日本語「プレイン・ジャパニーズ」の普及活動に取り組む浅井満知子さんに、話を聞いた。

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■日本語特有の言い回しは誤訳につながりやすい

 日本語特有の、主語の省略、二重否定、受け身表現、修飾語の多用といった文を自動翻訳にかけると、大抵は誤訳や不自然な訳文になります。こうした言い回しをなるべく避け、簡潔な「プレイン・ジャパニーズ」にすることで、自動翻訳の精度は格段に高まり、海外の人にも理解しやすい自然な翻訳文になります。

 簡潔で短い文章は、自動翻訳はもちろん、人にも理解しやすく、誤解が生じにくいです。一文に多くの情報を含む長文は、どの国の言語でも理解しにくく、誤解を招きやすい。そのため、一文は50文字以内を目安に要旨は一つとし、「ポイントとなる文は先」「補足文を後」の順に書くよう心がけましょう。

「プレイン・イングリッシュ」は、アメリカやイギリス、カナダなどで政府に公認され、ビジネスでも一般的に使用されています。私たちは普及活動の一環として、アメリカ政府発行のプレイン・イングリッシュのガイドラインを日本語に翻訳して公開しています。また、それを日本語に応用したプレイン・ジャパニーズのガイドラインも作成し、誰でもダウンロードできるように提供しています。

 グローバルな社会では、速く、効率的に要点がつかめ、理解しやすいコミュニケーションが求められます。アメリカ大統領やスティーブ・ジョブズのスピーチは、典型的なプレイン・イングリッシュ。プレイン・ランゲージは自動翻訳に限らず、今後必要とされる効果的な伝達術なのです。

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