ゴールドマンで、このようなレスポンスの速さは日常茶飯事です。多忙を極め、複数の案件が錯さく綜そうし、海外出張や重要会議でスケジュールがぎっしり詰まったトップバンカーであるほどレスポンスの速さは際立っています。その理由は3つあります。

 ・そもそも効率仕事術を身に着けている人が結果的に出世している
 ・レスポンスの速い人ほど一流のプロフェッショナルという共通認識がある
 ・レスポンスの速い仲間を正当に評価する社内の人事システムがある

 一日に受信するメールが100通で一定と仮定しましょう。返信をすぐにしようと、3日後にしようと、受信するメール数は変わらないとも仮定します。そうだとすれば、すぐに返信した方が相手にとっては都合が良いし、自分の目の前からも一つ仕事を片付けることができます。

 結果、自分に対する評価も上がります。メールをすぐに返信しない理由は、実は見当たらないのです。

■メールに返信する際に気をつけるべき3つのポイント

 メールのレスポンスにおいて気をつけるべき3つのポイントをご紹介します。

(1)レスポンスのタイミングは、あなたの名刺と考える
 返信を待っている相手にとって、あなたのレスポンスはあなた自身がどういうビジネスパーソンなのか、を物語る限られた情報の一つです。特に昨今は、メールやチャット等、相手の顔や声と接せずに一方的に送ることのできるコミュニケーション手段が多いです。メールについては、送り手は相手がいつメッセージを読んだかを確認する術すべがありません。

 待てども返事がなければ、メールが届いていないのかな、と不安な気持ちになります。別のメールアドレスを探してみたり、電話のタイミングを窺ってみたり。

 相手に不要な手間や心配をかけないためにも、早目のレスポンスを心がけたいものです。

(2)返信に時間がかかる場合は、その旨断りの短文メールを送る
 外出中だから返信する余裕がないので翌朝返信する、というメールを送るだけでも、相手は自分のメールを大事に扱ってくれているという安心感を得ます。

(3)考えの整理が必要な場合は、敢えて一晩寝かしてから返信する
 一方で、感情的な内容となる場合は注意が必要です。急ぎ返信することも大事ですが、メールは送信後消去することはできません。あとで後悔するような内容を送ってしまうリスクがあるような場合は、敢えて時間をかけて確認してから発信しましょう。

戸塚隆将(とつか・たかまさ)
1974年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼー&カンパニーを経て、2007年、ベリタス株式会社を設立、代表取締役に就任。同社にて、プロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を運営。