2010年代に入ると複数の力のある投手を揃えるチームは珍しくなくなったが、あえて最後に紹介したいのは今から58年前に史上初めて春夏連覇を達成した作新学院だ。選抜では後にプロ野球で完全試合も達成する八木沢荘六がエースとして優勝。しかし夏の甲子園直前に八木沢が体調を崩し、赤痢にかかっていたことが発覚。

 ただそんな中でも控え投手だった加藤斌が5試合をほぼ一人で投げ切り3完封という圧巻のピッチングでチームの危機を救ってみせたのだ。これまでに甲子園春夏連覇は7校、8チームが達成しているが、春に優勝したチームのエースを欠きながら達成したのはこの時の作新学院だけである。そういう意味では史上最強の二枚看板は八木沢、加藤と言えるかもしれない。

 冒頭でも触れたように球数制限が導入されたことで、継投で勝ち上がるチームが更に増えることが予想される。令和の時代、ここで紹介したようなチームを上回る強力投手陣が出現することを期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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