ビジネスパーソンに人気なのがMBAだ。「人材マネジメント」「マーケティング」「ファイナンス」など企業経営全般について学ぶ。MBAは資格ではなく、修士過程を修了すると学位として与えられる。

 MBAとともに人気なのが、公認心理師と臨床心理士の資格を取るコースだ。公認心理師は国家資格、臨床心理士は民間資格で、両方とも大学院で2年間学び、一定のカリキュラムを履修する必要がある。大学院入試の個別指導を行っている四谷ゼミナールの鹿取護さんは、次のように話す。

「心理学系は女性に人気の分野。また人生の経験が生かせるため、セカンドキャリアとしてチャレンジする年配の方も多いですね」

 心理学系の大学院は書類、面接に加えて英語、心理学、小論文などの学科試験が課せられる。社会人であっても授業は夜だけでなく、平日の昼も実習を受けることが必須となる。仕事と両立できるかどうか、事前にカリキュラムを確認することが肝心だ。

「入試で社会人への配慮はありますが、入学後の授業は新卒生と同等に扱われます。社会人だからと、甘くしてくれることはありません」(鹿取さん)

 東洋英和女学院大学大学院人間科学研究臨床心理学領域の社会人カリキュラムは、授業は夜に開講されるが、1年次から週に1日学外実習が実施される。1年次の冬からは、学内での相談面接実習も実施。2年次からは医療だけでなく教育、福祉、産業など幅広い現場で実習を行う。

 さらに毎週木曜日の15時からゼミ演習、17時からカンファレンスが必修となる。当領域には8人の専任教員がおり、全員が臨床心理士・公認心理師の有資格者だ。臨床心理担当の教員は次のように説明する。

「昼に実習などがあるため、働きながら学ぶにはフレックスなど時間に余裕のある勤務形態が望ましい。学期末にはレポートや試験、さらに2年次には修士論文研究を手がけることになります。多忙な日々ですがみなさんやりがいを感じており、修了してからもさまざまな場で活躍されています」

 同科のもう一つの柱、死生学分野のコースも社会人に人気だという。日本で初めて大学院で「死生学」を開講し、伝統を蓄積している。「命の尊厳」「看取り」「遺族の喪の作業」「寄り添い」などを理論と実践の両輪で学ぶ。

「超高齢社会により、最期の迎え方が非常に重要なテーマになっています。いろいろな経験を積んだ社会人の方にこそ、学んでいただきたい分野だと思います」(研究科長・久保田まり教授)

 高みをめざすなら博士課程を狙おう。大手企業で長年シンクタンクの業務に携わってきた酒向浩二さん(50)は、千葉商科大学大学院政策研究科の博士課程に通っている。進学したきっかけを次のように話す。

「仕事で外国人との交流も多いのですが、シンクタンクに携わっている外国人はほとんど博士号を持っています。それが刺激になって、かねてから自分も取得したいと思っていました」

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