その他、理論派として注目を高めているのが、井端弘和だ。神奈川県出身、1975年5月12日生まれの45歳。堅守巧打の名内野手として2000年代の中日の黄金期を支え、侍ジャパンや巨人でも活躍した後、コーチも務めた。その様々な経験の中で培った野球力と眼力で、守備や走塁などの中での目に見えないプレーを巧みに解説し、独自の視点で選手のプレーと実力を評価。その着眼点に「なるほど」と、ファンも唸っている。

 井端と同学年の高橋由伸も昨年、解説者デビューした。千葉県出身、1975年4月3日生まれの45歳。言わずと知れた巨人軍の元スター選手であるが、それが故に選手時代、監督時代は周囲からの忖度も含めて発言には制限されていた感があったが、解説者となってからはいい意味で肩の力が抜け、端正なマスクに自然な笑顔も浮かぶようになった。元々、人当たりがよく、好感度抜群で、話も上手い。同世代の中で監督経験者は少なく、監督目線で解説できる強みもある。コロナ禍の中ではあるが、解説者としての人気はさらに高まりそうだ。

 同じく昨年解説者デビューした新井貴浩の評判も上々だ。広島県出身、1977年1月30日生まれの43歳。広島、阪神で4番として活躍し、通算2000安打も達成した男だが、同時に“いじられ役”でもあった。「新井さん」として誰からも愛される人柄は解説者となっても変わらず、謙虚かつ柔らかい口調で選手をうまく褒めながらの解説は、明確で分かりやすい。先輩後輩問わず気軽に“絡める”のも大きな強みで、特に先輩解説者とタッグを組んだ際の“面白さ”は特筆すべき点だ。

 現役を引退した後、解説者として新たなスタートを切ることができる者はひと握り。それだけに長く活躍できる仕事でもある。今後、「ウィズ・コロナ」の新時代を迎える中で、新世代のプロ野球解説者の声をより多く聞くことができるはず。それぞれが、それぞれの個性を出しながら、より多くの人にプロ野球の魅力を伝えてもらいたい。