「帯状疱疹後神経痛を発症しやすいのは、高齢者、発疹が重症だった人、痛みが強かった人、前駆痛があった人です。重症だった人はウイルスの量が多いと考えられるので、神経も障害されやすいのです」

 帯状疱疹後神経痛は痛みの治療になるため、皮膚科から痛みの治療を専門とするペインクリニックを紹介されることが多い。しかし、井関医師は「夜間の眠りの妨げになるなど、痛みが強ければ急性期の時期からペインクリニックを受診してほしい」と話す。ペインクリニックでは、神経ブロック(硬膜外麻酔)や抗うつ薬、抗けいれん薬など、症状や合併症に合わせて、さまざまな薬を使い分け、集中的に痛みを治療する。

「発症後2~3週間経っても痛みがあればペインクリニックを受診することをおすすめします。急性期の痛みの治療は、帯状疱疹後神経痛に移行しないようにする、もしくは移行しても軽くすることを目指します。治療をしても神経痛に移行することはありますが、痛みの治療を受けてこなかった人としっかりと治療を受けてきた人とでは、気持ちが全く違います。ネガティブな思考は、痛みを増強する科学的な因子になるのです」(井関医師)

 発症後早期に神経ブロックをしたほうが、その後の痛みを緩和できるという報告もある。今後の生活の質を落とさないためにも、早めの治療が大切だ。

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(ライター・中寺暁子)

<取材した医師>
奈良県立医科大学病院皮膚科教授 浅田秀夫医師
順天堂大学順天堂医院麻酔科・ペインクリニック教授 井関雅子医師

週刊朝日  2020年7月24日号