「女人禁制」のトンネル工事に密着 女性写真家が写し出した「現場の美学」

2020/06/18 17:00

山崎エリナ(やまさき・えりな)/写真家。神戸市出身。1995年渡仏、パリを拠点に世界中を撮影。帰国後、国内外で写真展を多数開催。写真集に『アイスランドブルー』『サウダージ』『ただいま おかえり』『アンブラッセ』『三峯神社』『インフラメンテナンス』など http://www.yamasakielina.com
山崎エリナ(やまさき・えりな)/写真家。神戸市出身。1995年渡仏、パリを拠点に世界中を撮影。帰国後、国内外で写真展を多数開催。写真集に『アイスランドブルー』『サウダージ』『ただいま おかえり』『アンブラッセ』『三峯神社』『インフラメンテナンス』など http://www.yamasakielina.com

 昨年4月に出版した写真集『インフラメンテナンス~道路はこうして守られている~』が写真界で話題を呼んだ山崎エリナさん。その「続編」とも言える作品が6月に二冊同時発売される。その一つ『トンネル誕生』は、女性が立ち入ってはいけないと言われるトンネル工事に1年以上も密着した意欲作だ。作品に込めた思いを山崎さん本人が寄稿した。

【フォトギャラリー】『トンネル誕生』に収録されている写真はこちら

*  *  *
『インフラメンテナンス』という作品は、私の写真家人生において大きな転機となりました。インフラメンテナンスとは橋やトンネル、道路の補修のことで、普段はあまり意識されませんが、私たちの生活を支えている重要な仕事です。ある日、友人の紹介でその現場を見学させてもらったのですが、私はそこで働く人たちにとても強くひかれていきました。

 それまで、私は世界各地を旅するなかで「なんでもない日常」がいかに特別なものかを実感し、その瞬間を撮影して作品として発表してきました。過去の作品とはまったく違う被写体でしたが「日常の大切さ」というテーマは通底しているかもしれない。これを次の作品のテーマにしようと決めました。

 現場撮影がはじまったのは2017年の秋。道路脇に伸びてくる草刈り作業で、草の根元のギリギリ何ミリかのところを刈っていく姿が、とてもかっこいいと感じたことを覚えています。他の現場でも、一寸の狂いもない連携作業、不眠不休の除雪作業などを目の当たりにして、そこで働く方々のひたむきな姿に心を打たれました。初めは現場に迷惑がかからないようにと一歩引いて撮っていたのが、いつの間にか私も作業する一人一人の熱量と一体になってシャッターを押すようになっていました。

 インフラの老朽化に立ち向かい、安全な暮らしを守っている人たちがいることを、もっとたくさんの方に伝えたい。そう強く思いながら撮り続け、半年後には写真展、一年後には写真集出版へとつながっていきました。

 写真集の反響は大きく、ある大型書店では週間ベストセラー1位になり、建設業界からも称賛の声を多くいただきました。昨年秋にルーブル美術館で作品を展示した際には、「彼らの思いが伝わる」と感極まって目を涙で潤ませるフランス人や外国の方々がいて、写真で伝えることの価値や意味を改めて感じました。

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女性はトンネル工事に入るべからず

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