相手との話の「間」は、いつも以上に意識して空けること。オンラインだと、ずっと向き合っているという状況の緊張感や、話が途切れてしまった時の「間」の持たなさを不安に思うあまり、焦って言葉を足してしまい、相手とぶつかりがち。そこで、相手がしっかり話し終えるまで、特に意識して待ちます。良かれと思って「そうそう」と相槌をうちたくなるところをぐっと堪えて、相手が話し終えたらほんの数秒の「間」をとり、頷いてから話し始めるのです。そうすることで、相手には「聞いてもらえた」「受け取ってもらった」「理解してもらった」と満足してもらえます。こちらの思い違い、誤解も減らせます。 さらに、リモートでの会話で損なわれがちなのが、安心感です。

 番組では、ゲストをお迎えしてインタビューすることがありますが、その模様をリスナーに届けるというのは、いわば二重のコミュニケーションになります。リスナーの方々にゲストの言葉をきちんと伝えるために意識して使っているのが、合いの手としての「大きさ3割増しの無言のうなずき」です。実は、これがリモートのコミュニケーションにぴったりだと気付きました。

 オンラインでは、「分かります」「なるほど!」という声を出しての相槌は、かえって相手のテンポを乱してしまうことがあります。モニターでこちらの顔も相手は見えるわけですから、しっかり無言でうなずくことで「なるほど」感は伝えられます。相手の言葉を遮らない、ぶつからない、腰を折らない。相手もしゃべりやすいですし、リスナーもゲストの話に集中できます。さらに、身振りを3割増しにすることで、緊張しているゲストの方の目に「自分の話が受け止められている」ということが伝わるため、表情がほぐれてくる実感があります。

 オンラインでのコミュニケーション機会が増えて気づいたのは、リアル会話では、ふと上がった口角や、声のボリューム、視線の動きや、息継ぎのタイミング、手の表情など、いかに多くの非言語情報を相手と無意識にやり取りしていたかということ。逆に言えば、オンラインだからこそ、ポイントを絞って意識していけば、コミュニケーション上達の意外な突破口が開けるかもしれません。

「とはいえ、やっぱり顔を合わせるのが一番」と、これまでのやり方や習慣に戻るのもありだとは思いますが、 新型コロナウイルスを機に社会も大きく変わりつつあります。最初は慣れなくても、リモートはこれからの暮らしを便利にしてくれるものだと受け入れて、まずは軽い気持ちで試してみてくださいね。