海外移籍後はフィジカル面でも大きく向上し、レスター時代はジェイミー・ヴァーディの相棒としてピッチ上を幅広く駆け回り、「ミラクル・レスター」と呼ばれた2015-16シーズンのプレミア初制覇に貢献。華麗なオーバーヘッド弾も決めたが、それ以上に泥臭い働きでチームに貢献し、「影のヒーロー」と称賛された。日本代表でも存在感を強め、2010年の南アフリカ、2014年のブラジル、2018年のロシアと3大会連続でW杯に出場。座右の銘は「一生ダイビングヘッド」。国際Aマッチ通算119試合で、釜本邦茂、三浦知良に次ぐ歴代3位の通算50得点を挙げている。

 W杯での活躍で言えば、鈴木隆行もずばり「泥臭い」ストライカーだった。その端正なマスクとは裏腹に、前線からしつこくボールを追いかけ、体を張ったポストプレーで味方をアシストする汗かき役。点取り屋としてはシュートの精度を欠く場面が目立ち、46試合(1790分)連続ノーゴールという不名誉な記録もつくったが、日本中がフィーバーに包まれた2002年のW杯日韓大会のベルギー戦で奪った「泥臭い」同点ゴールは、多くの日本人の魂を揺さぶった。鹿島アンントラーズを筆頭に国内外の多くのチームを流浪し、J1通算108試合17得点、J2通算128試合24得点、国際Aマッチ通算55試合11得点という成績を残した。多くのゴールを奪ったわけではないが、記憶に残るプレイヤーの一人だろう。

 前線で体を張るFWとしては、2006年のW杯ドイツ大会に“サプライズ選出”された巻誠一郎のプレーぶりも思い出される。駒沢大学からジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド市原・千葉)に入団。足元の技術に優れていた訳ではないが、イビチャ・オシム監督の指導のもとで「考えながら走るサッカー」を身につけ、184センチの長身を生かしたヘディングと献身的なハードワークを武器に活躍。J1通算207試合53得点、J2通算231試合16得点、国際Aマッチ通算38試合8得点をマークした。

次のページ
今後「泥臭いストライカー」の出現はあるのか?