ですから、ずっと「中学受験はさせるべきなのかどうなのか?」に関して、悩んでいました。やりたいことへの門戸を広げてはおきたいけれど、「小学生のうちからそんなに勉強させても」「うちの子がそんなにがんばれるかどうか」というような考えも捨てきれず……まあ、一人で、「どうするべきか」と悩んでいたって何も解決しないので、ここはひとつ、受験のスペシャリストに話を聞いてみよう、と思いました。

■中学受験をするならば、独学での合格は難しい

「中学での受験を悩んでいる人は、一度、塾に話だけでも聞きにいってみるのが一番。持っている情報量も、受験を経験している回数も多いわけですから」と言うのは、東京で7校の塾TESTEA(テスティー)を展開し、自身も開成と東大受験の経験者である繁田和貴さん。

「もし中学受験を考えているなら、どのみち塾は必要だと思います。小学生が独学で合格を目指すのは現実問題として難しい」とのアドバイスをくれました。中学の入試問題は、普段、小学校で習う勉強とはまったく異なるうえに、志望校別にそれぞれ特色があります。それに大学受験と比較すると、中学受験用の市販の問題集は少ないのだそうです。

 思い出してみると、私が大学時代に小学生の家庭教師をしたとき、塾で配られたという某進学中学校の模擬テストを見たら、国語の文章がとんでもない長さで(冊子の7ページくらい)、「これが小学生の問題?」と驚いた記憶があります。

 先日も、東大に毎年多くの合格者を出す開成中学高等学校(2019年は187人が東大合格)の入試問題が新聞に掲載されていたので、興味本位で解こうと試みるも……1問目から早々につまずくという悲しい思いをしました。とにかく、各々の中学校が特異性の高い問題をつくっているわけです。

 ちなみに私自身も中学受験を経験しているのですが、やはり小さな個人塾に通い、小学校では習わない「つるかめ算」や「植木算」を勉強していました。今でも、「なぜつるかめ算に中学で習うXとYを使わないのか?」という疑問が残っています。

 繁田さんはさらに塾が必要な理由として、「小学生ではまだ、何からやるべきかを判断する能力が備わっていないため」と指摘しました。彼の塾には、小学校や某有名進学塾の課題の量が少なすぎたり多すぎたりするため、相談しにくる児童がかなりいるそうです。

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