東京五輪出場を逃した設楽悠太(c)朝日新聞社
東京五輪出場を逃した設楽悠太(c)朝日新聞社

 東京オリンピック代表の残り1枠をかけた東京マラソンが3月1日、都庁前から東京駅前までの42.195キロで行われた。スタート時点の気温11.5度、湿度46.4パーセント。天気は晴れと、やや風はあるものの絶好のコンディションとなった。今大会で大迫傑(Nike)が持つ日本記録(2時間5分50秒)を更新すれば、残り1枠の日本代表入りをほぼ確実なものにできるため、大迫、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)のBIG3を中心に記録更新への期待が高まった。「MGC開催! 東京オリンピック代表が決まる! マラソングランドチャンピオンシップGUIDE 」(朝日新聞出版)の編集者は世紀の一戦をどう見たのか?

■大迫が“超高速レース”を制し、日本代表に前進

 スタートの号砲とともに、日本人選手でまず先頭集団に食らいついたのが井上だった。1キロ2分55~56秒で刻むファースト・ペースメーカーが引っ張る集団でも前方に位置し、積極的な走りを見せた。大迫は先頭集団の後方に、設楽はセカンド・ペースメーカーが引っ張る第二集団につけた。今大会は、第二集団でも日本記録更新ペースという“超高速レース”が序盤から展開された。

 21キロ地点を過ぎたあたりでペースが上がり、先頭集団が縦長になるも、井上は軽快な走りを続ける。一方の大迫は遅れをとりはじめ、一時は後方集団から飛び出した菊池賢人(コニカミノルタ)に迫られる場面もあった。

 しかし30キロ以降、井上のペースが落ち始めたのを機に、大迫が徐々にペースを上げる。32キロ過ぎで井上をとらえ、日本人トップを奪取。そのまま自身の日本記録更新ペースを守り、全体4位、日本人首位でゴールした。2時間5分29秒は、自身の記録を21秒更新する日本新記録だった。8日に開催されるびわ湖毎日マラソンでこの記録を上回る選手が出なければ、大迫が日本代表に内定する。

■設楽は見せ場なく。無言で会場を後に

 最終的に26位(2時間9分34秒)に沈んだものの、32キロ過ぎまで先頭集団のハイペースに挑んだ井上。対照的に、設楽の見せ場は乏しかった。第二集団から上位に仕掛けることなくそのまま16位(2時間7分45秒)でフィニッシュ。

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