30キロ付近で設楽の走りを見守った恩師・東洋大学陸上部の酒井俊幸監督は、「(大迫に続いて設楽も)35キロから動きを変えていく必要がある」とテレビ中継を通して檄を飛ばしたが、最後まで「攻めの走り」をみせることはなかった。レース後の本人の声が、ツイッターでの「応援ありがとうございました!少し休みます」というツイートだけだったというのも寂しい。

 設楽ファンの間では、今年は元日のニューイヤー駅伝(第64回全日本実業団駅伝)から続く連戦に心配の声があがっていた。実際、1月の駅伝2大会では、いずれも走りは悪くはないものの、本来の爆発力はなかった。先月16日の金栗記念日30キロロードレースでは、冷たい雨の中で激走し優勝を飾るも、「ここで勝たなきゃ次はないと思っていたのでホッとしている」(共同通信より)と設楽が語ったとおり、ファンとしても「安堵」の思いが強かった。

 東京マラソンは、ファンの心配が的中する形になってしまった。しかし、以前から東京マラソン後は「海外にチャレンジしていきたい」と表明していた設楽。海外のトップ選手としのぎを削り、MGCで見せた「攻めの走り」で再びマラソンファンを興奮させてくれる日がくるのか。今後の動向にも注目だ。(文/海田文)