今季から巨人の二軍監督を務める阿部慎之助 (c)朝日新聞社
今季から巨人の二軍監督を務める阿部慎之助 (c)朝日新聞社

 昨年は原辰徳監督が復帰し、5年ぶりのリーグ優勝を果たした巨人。しかし切り札とも言える原監督も三度目の登板であり、今年で62歳という年齢を考えると長期政権になるとは考えづらい。そんな中、次期監督の最有力と見られているのが、昨年現役を引退した阿部慎之助だ。

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 ドラフト1位の生え抜きで名球会入りを果たし、チームの黄金期を支えた正捕手となれば、将来的に監督に就任しない方が不思議と言えるだろう。そんな阿部は今年から二軍監督となり、若手選手の育成に注力することとなった。そこで今回は、二軍監督を経て一軍の監督となるのが果たして得策であるのか、過去の事例から探ってみたいと思う。

 まず、過去20年間で二軍監督を経験した後にその球団の一軍監督に就任した例は以下の14人。リーグ優勝を経験した監督は★をつけた6人となった。

★岡田彰布(阪神):2004年~2008年
矢野燿大(阪神):2019年~
★若松勉(ヤクルト):1999年~2005年
小川淳司(ヤクルト):2011年~2014年、2018年~2019年
★真中満(ヤクルト):2015年~2017年
高津臣吾(ヤクルト):2020年~
★渡辺久信(西武):2008年~2013年
★秋山幸二(ソフトバンク):2009年~2014年
山本功児(ロッテ):1999年~2003年
大久保博元(楽天):2015年
平石洋介(楽天):2019年
三木肇(楽天):2020年~
大石大二郎(オリックス):2009年
★梨田昌孝(近鉄):2000年~2004年

 近年の目立った成功例と言えば、2004年から阪神の監督を務めた岡田ではないだろうか。監督就任前年は一軍のコーチだったものの、1999年から三年間二軍監督を務めている。2003年に星野仙一監督で優勝した時の戦力を生かしながらも、自身が二軍監督時代に指導した選手を上手く抜擢し、就任2年目にリーグ優勝。5年間の在籍で4度のAクラス入りを果たしている。1980年代後半の暗黒時代以降では、最も安定した成績を残した阪神の監督と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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二軍から一軍監督への流れで成功しているのは?