取材に応じてくださった学研プラスの三家本慎司さん(写真左)と鈴木裕昭さん
取材に応じてくださった学研プラスの三家本慎司さん(写真左)と鈴木裕昭さん
学研プラスが刊行する『まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫』
学研プラスが刊行する『まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫』

 いま、小学生女子が選ぶ「これまでに読んだ本の中でいちばん好きな本」は何かご存じだろうか?

【小学生女子から絶大な支持を得ている本はこちら】

 それは『ヘレン・ケラー』でも『ナイチンゲール』でも『赤毛のアン』でもない。なんと、学研プラスが刊行する『まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫』(以下『まんがでよくわかるシリーズ』)という学習マンガなのだ。

 2019年6月実施の第65回学校読書調査でのアンケートによれば、同シリーズは小学生女子部門で60票を獲得し、2位の『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』『名探偵コナン』各27票に倍以上の差を付けてトップになっている。

 なぜこの学習まんがは小学生女子に支持されているのだろう?

■そもそも『まんがでよくわかるシリーズ』とは?

 学習マンガといえば定番は歴史や偉人の伝記もの、最近では『サバイバル』シリーズをはじめとする科学系のものも流行しているが、本シリーズの特徴は「身近なもの」「お仕事もの」的な切り口にある。

 このシリーズの基本的な構成はこうだ。

 対象読者と同じ小学4~6年生の少年少女(ペアまたは3人)が主役となり、各巻のタイトルになっている「エアコンのひみつ」や「真珠のひみつ」といったテーマについて教えてくれる存在(おじいちゃん、お父さん、ロボット、何かの精、企業の人など)と出会い、その題材の歴史や製造工程を学び、実際に事業を手がけている企業へ見学に行き、さらに見識を深める、というものだ。

 1冊あたり全6章前後の構成で、本編の途中に1~4ページの文章と図解によるコラムが挿入され、マンガのページの両端には一行で書かれた「まめちしき」も入る。

「子どもたちはコラムや『まめちしき』を読んで親御さんに『これ、知ってる? ○○なんだよ』と話すのが好きみたいですね」(学研プラス コンテンツプロデュース部 学びソリューション事業室 副室長・鈴木裕昭)

■『まんがでよくわかるシリーズ』は仕事に興味を持ってもらうための糸口

「そんなに読まれてるなら試しに買ってみようかな」と思った方もいるかもしれないが、『まんがでよくわかるシリーズ』は書店流通(市販)はしていない。全国約2万の小学校と約3千の公共図書館、そして約800の児童館に寄贈している。

次のページ
このシリーズのスキームと意図は?