このシリーズは、2001年に第1弾として『ハンバーガーのひみつ』を刊行して以来、1冊ごとに各巻のテーマとなる「サイダー」「雷」「高野豆腐」「多目的作業車」等々に関する内容を、各企業と学研とが共同制作するかたちで成り立っている。

 企業が制作資金と専門的な情報を協賛という形で提供し、学研は企業に対する取材を元にマンガを制作し、学校図書館や公共図書館などに副教材として納める、というスキームだ。

 もちろん、公共空間に置かれ、子どもたちの手に届くものだから、特定企業の露骨な宣伝にならないよう、あくまで題材となるものの歴史や用法、製造工程などに関する学習マンガとしての枠組みは堅守。

 子どもたちは各テーマを楽しみながら学ぶことができ、調べ学習(総合学習、探求学習)や自由研究のための教材として活用されることも多い。

 学研側としては各巻ごとの題材に加え、シリーズを通して「キャリア教育」「環境教育(SDGs)」「グローバル化」という3つのテーマを意識して制作している、

 企業側としては、自社のCSR(社会的責任)や、読者が就職先を決める10~15年先を見こした採用戦略の一環という位置づけで取り組んでいるケースが多い。

 特にBtoC企業と比べて子どもにはなじみの薄いモーターやポンプ関連などのBtoB企業、あるいは人手不足に悩む海運業界などからは「この仕事おもしろそう」「今まで意識したことがなかったけど、こんな風に社会貢献できる仕事もあるのか」と興味を持ってもらうための糸口として期待されている。

 実際、「小学生のころ『まんがでよくわかるシリーズ』を読んでこの業界に興味を持ちました」とエントリーシートで書いたり、面接で話す学生もすでに現れているという。

■いったいどこが小学校高学年生に刺さっているのか?

 このシリーズの対象読者である小学校5、6年生は思春期の入り口、言いかえれば大人の入り口に立ちかけた存在である。特に女子は男子より発達が早く、将来どうしようか具体的に考え始める時期だろう。

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なぜ男子よりも女子のほうが刺さる?