しかし、ひみつシリーズを読むと、学校で習う歴史や理科と、実社会にある仕事とが有機的に結びついていることが自然とわかる。

 さらにはこれからの社会で必要とされること(環境への配慮、グローバル化への対応など)が、読者である自分たちと近い作中の主人公たちの姿を通じて実感できる。

 これが大人への入り口に立った小学校高学年女子に「これまでに読んだ本の中でいちばん好きな本」とまで感じさせるポイントなのではないか。

「2020年からの新学習指導要領では、小学校でのキャリア教育への取り組みが文科省からも求められています。ですから学校の先生からも『仕事もの』をもっと出してほしいという要望があり、弊社としても充実させていきたいと考えています」(学研プラス コンテンツプロデュース部 学びソリューション事業室 プロデューサー・三家本慎司)

 2019年12月に発表された、OECDが実施する学習到達度調査(PISA)では日本の子どもの読解力低下が話題となった。このPISAが求める読解力(リーディングリテラシー)とは、単に「文章の意味を読み取る」といったものではなく、実社会での活用・応用を前提とし、将来、仕事や生活で必要となる能力を測るものである。

 PISAに象徴されるように、教育業界の国際的な潮流の中では、知識を習得するだけでなく、その知識を社会で活用すること、そして各人が自分なりに知識を探求していくことをバランスよく学ぶことが求められている。

 ひみつシリーズは、その潮流に合致した企画でもある。(取材・文/飯田一史)