手に入れた株主優待や配当の価値以上に株価が下がると、本末転倒となってしまいます。

「最低購入単位ずつ、複数の優待株に分散投資しておけば、値下がりしたものが出てきても、他の株が値上がりしていてカバーされたりすることがあります」
 
 また、長期保有して株主優待を受け取ることを目的とすれば、短期的な株価の動きに一喜一憂せずに済みます。長期保有する株主には、優待内容を優遇する会社も増えています。

「株主優待制度を導入している上場企業は全体の約4割で、その中の約四百数十社は長期保有の株主を優遇しています」
 
 たとえば、東京証券取引所や大阪取引所を運営する日本取引所グループ(8697)は、株主になった初年度は1000円分のクオカードが優待品ですが、保有1年以上で2000円分、2年以上で3000円分、3年以上で4000円分にグレードアップします。

 時間に追い回されないセカンドライフだからこそ、売り急がず長期保有を続けて、存分に株主優待を享受するのも手でしょう。(文/大西洋平)

〇桐谷広人さん:1949 年、広島県生まれ。元プロ棋士七段。365日間、ほ
ぼ現金を使わずに株主優待だけで暮らす投資家としてテレビで紹介され、大いに話題を集める。現在は約1000銘柄を保有中で、そのうちの約900 銘柄が優待株。

※週刊朝日MOOK『定年後のお金と暮らし2020』より抜粋

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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