■配当は大口投資家に有利、優待は小口投資家の味方

 株を買って期待できるものと言えば、株主優待以外にも配当があります。その会社が稼いだ利益の一部を保有株数に応じて株主に還元するもので、「1株当たりの年間配当金÷その株の時価」で配当利回りを求められます。メリットの一つですが、桐谷さんは、株主優待の魅力のほうが勝るといいます。

「配当の場合は、業績が悪化すると減配(配当額の引き下げ)配当は大口投資家に有利優待は小口投資家の味方や無配(配当の支払い停止)となる可能性があります。しかし、株主優待の場合は業績が多少悪くても継続するケースが多い。しかも、配当は保有株数が多いほど得られるお金が増え、大口の投資家に有利。これに対し、株主優待は保有株数が多くても優待内容には差が生じないケースが多く、最低単位(1単元)の株数を保有している小口投資家に有利だと言えるでしょう」

 もちろん、配当ももらえるのに越したことはありません。株主優待制度を導入しており、なおかつ安定的に利益を出している会社なら、株主優待と配当の両方をコンスタントに享受できます。投じた元手(その株を買うのに必要とした金額)に対し、どれだけの優待品が得られるのかは、「株主優待を現金価値に換算した金額÷その株の時価」で求められます。

 これを優待利回りといいます。

「優待利回りと配当利回りの合計が4%以上に達する銘柄の中から、自分が欲しい株主優待を実施している会社を探すといいでしょう。ただ、そういった銘柄でも株価が上昇して合計の利回りが4%を割り込むこともあるので、その場合は株価が下がるのを待ってから買うのがコツ」
 
 ただし、注意すべきポイントもあります。その筆頭に挙げられるのは株式投資特有のリスクで、買った価格よりも値下がりした時点で売ると損失が出ることです。各々の会社の業績や経済情勢、市場全体の推移などに応じて、株価は日々変動します。

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大切なのは分散投資と長期保有