慶應も筑波同様、黙って手をこまねいているわけではなかった。2017年、「箱根駅伝プロジェクト」をスタートさせる。その精神はなかなか高邁だ。

「慶應義塾の創立者である福澤諭吉は、智徳とともに気品を重視して、社会のリーダーたる人材の育成を志しました。私たちは学業だけではなく、またスポーツだけでもなく、文武両道という学生スポーツのあり方を希求しながら箱根駅伝本選への復帰を目指して参ります」(大学ウェブサイト)

 競走部の長距離コーチに保科光作が就任した。保科は日本体育大で4年連続で箱根駅伝に出場し、日清食品グループでも活躍した。慶應義塾大がスポーツで母校出身者以外から指導者を招聘するのはめずらしい。

 立教大も慶應に続くかのように箱根駅伝出場を大学の目標として掲げた。同校は1934年に箱根駅伝に初出場。1968年までに27回出ているが、それから半世紀以上、箱根を走っていない。

 2018年、「立教箱根駅伝2024」事業を立ちあげた。2024年の出場をめざし、監督には中央大、ヱスビー食品などで選手として活躍した上野裕一郎を迎えた。駅伝チームの専用寮も2020年3月に完成する。2008年度に導入した「アスリート選抜入試」などで有望な選手を受け入れようとしている。

 立教大の郭洋春総長はこう期待を寄せる。

「歴史と伝統ある本学が歴史と伝統ある箱根駅伝でタスキをつなぐことで、約2万人の学生と国内外に広がる約20万人の校友が一枚岩になることを体現できると信じています」

 2015年には創価大が初出場を果たしたが、その道のりはかなり厳しかった。1990年からスポーツ推薦を採り入れたり、著名な指導者を招聘したりしたが、あとひと息のところまでくるものの、出場できない。そこで、陸上競技部は箱根に出るため、2000年代後半、2009~2013年の5カ年計画を打ち出した。天然芝の陸上競技専用グラウンドなどを整備したが、計画の最終年の2013年、予選会19位と惨敗してしまう。その後、指導陣を一新、瀬上雄然監督、久保田満ヘッドコーチのもとで体制を立て直し、2015年に箱根出場の夢をかなえた。瀬上監督(現・総監督)が話す。

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