柳田の一番の持ち味が打撃であることに異論を挟む余地はないだろう。首位打者2回、最高出塁率を4回獲得。そして、飛距離の長さは他選手の追随を許さない。どの方向へも打ち返すことができ、それが長打になる。

「ギータの打撃の特徴は、スイングスピードの速さと思い切りの良さ。日本球界トップクラスのスイングの速さがあるので、ギリギリまで球を引きつけることができます。首位打者を獲得するなど、長打だけでなく打率も残せるのはボールを見切って打てるから。加えて常にフルスイングできる全身の強さを持っています。なかなかあそこまで振れる打者というのはいない。ウエイトトレーニングのみでなく、生まれ持った身体能力もあるんじゃないでしょうか」

 柳田がすごいのはパワーだけでなく、スピードも兼ね備えていることだ。50メートル5秒台中盤の俊足は球界でも上から数えた方が早い。

「小柄な選手にスピードが求められるのは当然ですが、あれだけの大きな選手が同じようにできる。アメリカのフィールドでは内野安打も増えることが予想されます。そうなれば打率や出塁率も今よりは上がるんじゃないでしょうか。そうなってくると中軸というより、1番での起用も見てみたい」

 また、遠投125メートルの強肩も大きな武器だ。現在は中堅起用が多いが、外野ならどこでも守ることができるだろう。ゴールデングラブ賞は4回受賞している。走・攻・守のすべてがそろっているオールラウンダーであり、それもメジャーに挑戦する上では大きなアドバンテージになる。

「守備に関しては何も心配はいらないでしょう。足も速く、肩も強い。今でこそ狭くなりましたけど、それまでは広いヤフオクドームでしっかり守っていた。メジャーの球場は基本、天然芝なので思い切ったプレーもできます。中堅だけでなく両翼もできるはずだから、守備での貢献度は増すでしょうね」

 話を聞いていると、メジャーでの成功は確約されているように思える。だが、その一方で懸念材料もある。今年の不調の原因となった下半身の故障だという。柳田は春先の4月7日の試合で走塁中に左足膝裏肉離れを起こした。8月末に復帰するまでかなりの時間を要したが、本調子には程遠い。

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一日でも早くメジャーに…