SNS時代には「写真を撮った後」の取り扱い方がとても重要になる(撮影/写真部・東川哲也)
SNS時代には「写真を撮った後」の取り扱い方がとても重要になる(撮影/写真部・東川哲也)

 日本代表の初戦勝利で盛り上がるラグビーW杯だが、ファンが撮影した写真や動画のSNSへのアップが「規約違反では?」とネットで話題になっている。『アサヒカメラ9月号』では、来夏の東京五輪ともども、国際大会を撮影し、ウェブ等で公開する際に知っておくべき「ルール」について、主催者と識者に聞いた。

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 ラグビーW杯や東京五輪などの国際大会では、私たちはチケット購入時に主催者側とさまざまな「約束事」を交わしている。たとえば、「東京2020チケット購入・利用規約」にはチケットの払い戻し方法から問い合わせ先まで、51条にもわたって種々の注意事項が明記されている。ラグビーW杯も「ラグビーワールドカップ2019チケット規約」があるのだが、両方とも隅々まで読んでいる人はまれだろう。だが、ここには「撮影ルール」についても書かれているので、注意が必要だ。

 東京五輪の規約で、撮影について書かれているのは33条。詳しい条文は公式HPで確認してもらうとして、著作権や撮影マナーに詳しい三平聡史弁護士の解説を交えながら何が書いてあるのかをみていこう。

■五輪会場での撮影はOK? 著作権は?

 東京五輪の規約33条の3項では、観客が会場内での写真、動画などを撮影することは認めるが、その著作権は国際オリンピック委員会(IOC)に帰属することへの同意が明記されている。それを前提とした4項では、撮影した写真や動画の使用が許可される範囲が書いてあるが、これにはかなりの制限がかけられている。

三平:3項では『保有する一切の権利をIOCに移転する』とあり、著作権をIOCに無償で譲渡することが求められています。では、撮影者は写真や動画を何に利用できるのか。4項では『テレビ、ラジオ、インターネット(ソーシャルメディアやライブストリーミング含む)その他の電子メディア(将来新たに開発されるものを含む)において配信、配布(その他第三者への提供行為を含む)することはできません』とあります。

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ラグビーW杯は五輪とは規定が異なる