日本語が全く通じない、または少し理解はできるけれど難しいという方がいらっしゃったとき、私はクリニックに導入されている電話医療通訳メディフォンを使用しています。電話医療通訳メディフォンとは、常時英語や中国語など17言語に対応している医療通訳サービスです。電話をかけ、言語を選択し、診察室においてある電話機をスピーカーにすれば、通訳を開始することができます。

 もともと英語が苦手な私にとって、日常会話レベルの英会話はなんとかなるものの、症状についての微妙なニュアンスなど、伝えられるはずも、理解できるはずもありません。時間は多少かかるものの、互いに理解を確認しながら診療をスムーズに進められるので、電話医療通訳サービスは私にはなくてはならない存在です。拙い英語でなんとか会話しながら診療を進めるよりも、確実にかかる時間が少なくて済みますので、他の患者さんを長時間お待たせすることもなくなりました。

 普段は英語や中国語を選択することが多いですが、ワールドカップ期間中はさまざまな言語を選択することになるかもしれません。来年には東京オリンピックが控えていますので、ラグビーワールドカップ期間には間に合わなくても、来年のオリンピックまでに、電話医療通訳サービスが多くの医療機関に導入されることを願っています。

 三つ目は、緊急避妊薬(アフターピル)です。世界19カ国ではアフターピルはすでに市販化されており、76カ国では処方箋がなくても薬剤師を通じて購入することができます。費用も1000円から2000円と手頃な価格に設定されています。英国やカナダなど無料で提供している国や地域もありますが、高くても5000円で手に入ります。

 日本はどうなのかというと、医師の処方箋なしにはアフターピルを手に入れることはできません。保険診療ではなく自費診療であるため、費用も約2万円前後と高額です。

 余談ですが、先日、国際学会に参加するためミャンマーに行ってきたのですが、なんとスーパーに併設された薬コーナーでアフターピルは売られていました。価格は日本円で34円から88円。ミャンマーの平均月収は約1万円なので、日本の平均月収を約27.5万円とすると、935円から2420円で売っているということ。

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個人レベルでの予防が重要