東京五輪も仮想 ラグビーW杯が「日本の医療」に及ぼす3つの問題点とは

ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)

ヘルス

2019/09/25 07:00

 大会開催にあたり、国立感染症研究所感染症疫学センターと国立国際医療研究センター国際感染症センターは、大会参加国を中心とする国や地域からの訪日客増加による感染症発生の可能性について注意喚起をしています。日本では稀(まれ)であるものの、常時または季節的流行を常に認めているために、参加国別に輸入されて感染する可能性がある疾患を発表しています。

 例えば、結核やコレラ、デング熱や日本脳炎など蚊が媒介する感染症、髄膜炎などです。これらは、南アフリカやアルゼンチン、ウルグアイ、サモア、トンガなどの国で一年を通して、または季節的に流行している疾患です。

 というのも、ラグビーの発症は英国ですが、オーストラリア、ニュージーランド、サモア、フィジー、トンガなどはかつてイギリス連邦の国でした。そのため、今でもラグビーが盛んであり、ラグビーワールドカップには南半球からもたくさん人がやって来ます。日本では稀でも、南半球では流行している疾患が日本に持ち込まれる、というわけです。
 
 予防にはワクチン接種と手洗い・うがいによる予防が大切です。麻疹や風疹は、ワクチン接種をしていない、または1回しか接種していない、接種したかどうか分からないという方を中心に現在も流行しています。特に麻疹は世界的に流行しており、世界保健機関(WHO)によると、今年の1月から3月の世界の麻疹感染者数は、前年の同時期の3倍に達したといいます。麻疹は特に感染力の強いため、ラグビーワールドカップをきっかけに感染が拡大することも十分考えられるのです。ワクチン接種が不十分な方は、試合を見に行く前の接種が必要と言えるでしょう。

 二つ目は、訪日客の日本の医療機関への受診です。私の勤務先である新宿駅にあるナビタスクリニックには、海外渡航者や留学生、在住の方が多く受診されています。主訴は、風邪から腹痛、糖尿病、ワクチン接種の希望まで多岐に渡ります。留学生、在住の方であれば日本語で会話できることが多いのですが、海外渡航者は、日本語が全く通じないという方が多いです。

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医療現場に浸透した電話医療通訳

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