甲子園出場経験のある選手が圧倒的に多い結果となった。甲子園出場経験がない高校卒でのドラフト1位となると、過去10年間では中村勝(2009年・春日部共栄→日本ハム1位)、高橋周平(2011年・東海大甲府→中日1位)、武田翔太(2011年・宮崎日大→ソフトバンク1位)、鈴木翔太(2013年・聖隷クリストファー→中日1位)の4人がいるが、中村と鈴木はいわゆる外れ1位である。

 甲子園出場がない場合、今年の佐々木のように間違いなくその年のナンバーワン評価ではないと1位では指名されないというのが現実と言えるだろう。

 もう一つ注目してもらいたいのが★と※で示した高校3年時での甲子園出場歴である。1位で指名された22人の中で高校3年時に甲子園出場を逃したのは高橋光成、安楽、村上、吉住、太田の5人であり、そのうち最初の入札で指名されたのは高橋光成と安楽の2人だけという結果となったのだ。これを見ても、最終学年での甲子園出場がドラフト上位指名に繋がっていることがよく分かるだろう。

 ではなぜ甲子園出場が高評価に繋がるのだろうか。最も大きいのが各球団のスカウトが勢揃いするという点である。いわゆるその地域の担当スカウトの間では地方大会までで選手の評価はほとんど決まっていると言われるが、他の担当スカウトや編成トップが甲子園でその選手を始めて見るというケースも決して少なくない。そこで大きな活躍を見せれば、多くのスカウトに強い印象を残すことは間違いないだろう。

 また、3万人、4万人を超える大観衆の注目のなかで実力を発揮できるかどうかという点も評価を左右することも事実である。

 しかしその一方で、あるスカウトの話ではこの甲子園での揃っての視察が弊害になっているという声も聞かれる。普段から何度も足を運んでその選手について長所も短所も把握している担当スカウトの意見よりも、甲子園でのプレーだけを見たフロント、編成トップの意向が強く指名に反映されることもあるというのだ。

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中村奨成らは“過剰評価”?