■箱根駅伝の名場面「盟友川崎」の藤川拓也選手

西本:マスコミの注目は神野選手にいっているけど、ひたひたと狙っているのはこういうタイプですね。川崎さんといえば「盟友川崎」。(15年箱根駅伝の)9区で走っている藤川選手に給水を渡そうとして渡さない「盟友川崎」という名シーンがあります。藤川選手は昨年くらいから変わりましたよね。

川崎:大学時代、毎年1回は故障していました。特に冬場。箱根が終わった後は2~3カ月故障していて、毎年トラックレースに出遅れましたが、ここ3年はほぼ故障していないと言っていました。体力やスタミナがついて、どんなレースでもある程度まとめられるようになったのが大きい。先日も帰りの新幹線が一緒になって、「体が絞れているね」という話になりました。大学時代はムチムチ感があったけど、それが一切なくなりました。ハイペースで押していくのが得意。それにさらに磨きがかかった感じがします。

西本:安藤さん、藤川選手についてはどうですか?(青学が箱根で)初優勝時のキャプテンですよね?

安藤:2年のときのキャプテンです。彼は走りがきれいで、ダイナミックなイメージです。野心がすごく強い印象もあります。

川崎:内に秘めている思いは強い。

安藤:(神野など)下の代が注目されて、多分「なんでやねん」という思いがあったのだと思います。

西本:ようやく花開いた感じですね。箱根初優勝のときは、藤川選手が(2014年の)世田谷246ハーフで優勝したあたりからムードが出た感じがありましたよね。

川崎:最高のキャプテンでした。

西本:藤川選手に怒られた話、しておいたほうがいいんじゃない?

川崎:その話、しますか(笑)。4年生になって新チームになったばかりのころに僕が寝坊したんです。

西本:4年生が中心となって「最強への徹底」というスローガンを掲げて、徹底すると宣言して……。

川崎:僕がしょっぱなに寝坊して、藤川君にガチギレされました。でもそれを見て、神野は「優勝するかも」と思ったらしいです。僕と藤川はチーム内でも一番仲が良くて、しかも同い年。その僕に対して怒れる藤川というキャプテンを見て、神野は「今年だったら先輩たち本気だし優勝もあるな」と。

安藤:本当にタイミングが悪かったですが、川崎さんのおかげで「先輩、本気だ」とわかったんです。

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