■「僕らの学年は一色とその他、という感じだったんです」

西本:次は一色選手について聞かせてください。

川崎:僕が4年生のとき、同部屋でした。どちらかというと表に気持ちを出さないタイプですが、思っていることは強いです。特にGMOに行ってから、自分の思うような結果が残せていなかったので。

西本:大学時代はうなぎのぼりでしたよね。日本選手権でもいい感じで走ってきて、学生で一番。

川崎:本人もここ2~3年、結果が出なくて苦しんでいたところがあると思います。最後ハンブルクで取れてよかった。最後の最後で取ると、気持ち的にも上がってきていて、その点は他の選手よりもアドバンテージがあると思います。

西本:同級生としてはどうですか。1年から1区走っていましたよね。

安藤:僕らの学年は一色とその他、という感じだったんです。彼が学年を引っ張ってくれていた。練習で一緒にやっている僕らから見たときに、彼の持っているポテンシャルはこんなものじゃないなというのがあります。今の彼はまだ力を出せていなくて、殻を破れていないと思います。それがいつなのかを期待して待っています。

■「神野はトップから離れても後半で上げていける」

川崎:西本さんのレース展望は?

西本:僕は、今目立っていないやつが勝つと思っています。

川崎:一番怖いのは佐藤悠基さん(32、日清食品グループ)。スローかハイかはわかりませんが、30キロ後半に上りがあるので、ここがポイントだと思います。スピードのある大迫傑さん(28、Nike )、設楽悠太さん(27、Honda )がバーッて行って、そこで止まらなかったら前に行ったもの勝ち。そこで止まったら神野みたいな粘れるやつが勝ち。それこそ中本健太郎さん(36、安川電機)であったり、園田隼さん(30、黒崎播磨)だったり。そういう両極端になるかなと。でもスローになったらこれがまたおもしろくないんですよね。

西本:スローになったらラスト佐藤悠基が入って、また大迫が入って、2012年(の日本選手権1万メートル決勝)以来の展開になる。青学勢が絡んでくるとしたら?

川崎:僕は藤川が前にいるパターンだと思います。彼と一色はスピードの持久力が高いので、ハイペースで前に行ったほうがいい選手です。逆に神野はこの間の東京マラソンみたいなレースができればおもしろいかなと思っています。神野もトップから離れても自分のペースを維持して後半で上げていくレース感覚をつかんだと言っていました。神野の勝ちパターンはそれかなと僕は思いました。

安藤:誰が引っ張るんですかね?

川崎:大迫さんは絶対に出ない。

西本:佐藤悠基も絶対に出ない。

安藤:一色が行くのでは?

西本:箱根1区以来の「大迫さんに出されちゃいました」ですね。

川崎:俺は、橋本は全然目立たない位置にいると思う。それが気がついたら「橋本上がってきた!」が、橋本のあるあるです。

西本:どんな着順が理想ですか?

川崎:個人的には1、2位が藤川と神野だったらいいです。タイム差なしの着差あり、が一番いい。

安藤:誰か一人は3位以内に入ってくれればいいですね。僕は橋本さんと一色を応援します。

西本:一色選手が来たら泣くでしょ?

安藤:泣いちゃいますね。

※『マラソングランドチャンピオンシップGUIDE』より抜粋