大場と同学年で同じ2007年に5球団(楽天中日、広島、ロッテ西武)が競合した長谷部康平も、期待に応える成績は残せなかった。愛知工業大時代に北京五輪のアジア予選メンバーに選ばれて高い評価を得ていたが、プロ初年度の開幕前に左膝半月板損傷で出遅れると、1年目は1勝のみ。2年目に5勝を挙げたが、それを上回る8敗を喫し、首脳陣が期待する「左腕エース」の座につくことはできず。プロ通算11勝19敗11ホールド3セーブ、防御率5.37という結果に終わった。

 もう少し昔の話になれば、1997年のドラフトで4球団(オリックス、近鉄、ヤクルト、横浜)が競合した川口知哉の名前が思い出される。平安高のエースとして甲子園で準優勝に輝き、ビッグマウスぶりでも話題を集めてオリックスに入団したが、フォームを崩して制球難に苦しみ、2軍のウエスタン・リーグで「1試合6暴投」や「1試合15四球」という不名誉なワースト記録を作った。結局、1軍登板は9試合のみ。プロ通算0勝1敗、防御率3.75で未勝利のまま現役から退いた。

 期待が高い分、その反動も大きい。現役選手では、西武の大石達也(2010年、6球団)、日本ハムの斎藤佑樹(2010年、4球団)、田中正義(2016年、5球団)といった面々が、現時点では期待以下の働きしかできておらず、日本ハムの清宮幸太郎(2017年、7球団)も同学年のヤクルト・村上宗隆に先を越された。彼らがこれから評判通り、さらには期待以上の活躍をできるか。はたまた、今秋のドラフトで「重複指名」が予想される“逸材”が来年以降、どのように成長していくのか。ドラフト時に話題と注目を集めた分、彼らには多くのファンが大きな夢を抱いている。