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「花粉症薬が保険適用外に」医療費約600億円削減でも現役医師が困る理由とは?

連載「現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”」

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大塚篤司dot.#ヘルス
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 さて、18年4月から施行された機能強化加算ですが、患者の約6割が1回のみの受診で再診がなかったことがわかりました。かかりつけ医制度の定着を目的としたこの加算ですが、実際のところ4割の患者さんにはかかりつけ医となっていない可能性が指摘されています。また、二つ以上のクリニックから機能強化加算を算定された患者さんも6割いたとのことで、この制度の本来の目的とはかけ離れていることが明らかとなりました。

 そのため、この加算は生活習慣病などの継続的な管理が必要な疾患に絞ることを健保連は提案しています。

【2】 生活習慣病治療薬の適正な選択(フォーミュラリー)の導入に向けた検討

 フォーミュラリーは08年に発表された手法(Am J Health-Syst Pharm 2008;65:1272-83)です。日本語では「医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針」と訳されます。もう少しわかりやすく説明すると、病気の治療方針に薬剤のコストも考えて選択を提案する手法のことです。

 フォーミュラリーに関しては独自に取り組んでいる医療施設があります。例えばインフルエンザの場合、重症の場合は薬剤A、妊婦さんには薬剤B、それ以外の患者さんには薬剤C、というように、医学的な根拠に加えてコストの問題も視野に入れた薬剤選択を提示しています。

 薬の使い方に関して、多くの疾患で学会主導のガイドラインが公開されています。しかし、そのガイドラインの中で具体的な薬剤名の指定をしたものはなく、コストの観点から一歩踏み込んで使用する薬剤を提案するのがフォーミュラリーです。

 このフォーミュラリーを導入すると医療費削減につながると健保連は提案しています。健保連の算定では、血圧をさげる降圧薬で1794億円、高脂血症などに対する脂質異常症治療薬で765億円、糖尿病に対する血糖降下薬で582億円。合計で約3100億円の薬剤費削減額が見込まれるとのことです。

 健保連は、薬剤コストを加味したガイドライン作成の環境整備を国がすることを提言しています。

【3】 繰り返し利用可能な処方箋(リフィル処方)の導入に向けた検討

 リフィルとは「おかわり」の意味の英語。リフィル処方箋とは、繰り返し使える処方箋のことです。患者さんが医師の診察を受けることなく繰り返し使える処方箋を指します。薬剤の変更がない長期処方の場合に活用できる可能性があります。

 医師限定のポータルサイト「m3(エムスリー)」がおこなった調査では、薬剤師の半数以上がリフィル処方箋に賛成していますが、医師は半数近くが反対しています。反対する医師はおそらく副作用のリスクを考え、賛成する薬剤師の方々は医師でなくとも対応できると判断しているのでしょう。


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