「あの頃はオールスターに出る選手も多くて、監督もオールスターに行く。だから残っている選手はレギュラーじゃなくて控えや若手が多かったんですよ。だからその時に体を休めるんじゃなくて、短期間でも鍛え直すような練習はやっていましたね。若手の選手にとっては逆にチャンスですから」

-こういうチームが夏場、終盤戦に強いというのはありますか?

「基本的には主力がしっかりしているチームですね。野村さんの時も1番と2番を入れ替えたり、下位打線を変えたりすることはあっても、基本的には中軸はあまり変えなかったですよ。あとは日替わりでヒーローが出てくるようなときは強いですね。中心選手が疲れてきた時に控えの選手が頑張る。あと頼れるのはやっぱり責任感の強い選手。ピッチャーは特にそうですね。野村さんの頃だと岡林(洋一)なんかは真面目だし、ここぞという時に強い。そういう意気に感じるような選手を勝負どころで上手く使っていたと思います」

-八重樫さんがご覧になってきて、終盤や勝負所で強かった選手は他にはいますか?

「やっぱり古田(敦也)だね。大事なところではよく打ちましたね。1993年に優勝して、広沢(克己)が打点王とった時も古田の方が20くらい打点少なかったんだけど、古田が打っている印象の方がよっぽどか強い。広沢が打点王って聞いてびっくりしましたから(笑)」

-今年のヤクルトを見ていて、後半戦に向けての課題はどのようなところにあると思われますか?

「最近は先発がそこまで長いイニングを投げないので、試合の勝ち負けも中継ぎの出来不出来が左右するケースが多くなっていると思うんです。それで前半戦のピッチャーの起用法なんか見ていると毎日トーナメントみたいに全部勝ちにいってるように見えるんですよね。勝ち試合も負け試合も同じ中継ぎ投手が投げている。接戦が続いて仕方ない時もあると思いますが、やはり連投が続くと中継ぎ投手はキツいです。ただ選手はなかなかキツいとは言わないですから無理してでも投げる。それで上手くいかないとベンチも焦ってどんどん悪い方に向かっていく。

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起用法に唸らされた名将