他の球団もそうですけど、大きな連敗が多いじゃないですか。まずは3連戦を3連敗しないこと。勝てる試合はしっかり勝って、逆に負けが濃厚な試合は、特に投手は控えで期待している選手や若手を思い切って使う場にした方がいいと思いますね。それで、普段投げている中継ぎを休ませる。ただ若手の野手のレギュラー、今年で言ったら村上(宗隆)なんかはどんな試合もずっと使った方がいい。今はどんな試合でも勉強になる時期ですから。あとはさっきも言いましたけど中軸はなるべく固定したほうがいいですね。野手はそれなりに打てる選手は揃っているんだから。あまりころころと打順を変えると選手はやりづらいはずです」

-そういう起用法はやっぱり野村さんは上手でしたか?

「選手はどうしても目の前の試合を勝ちたがるんですけど、野村さんにしても広岡(達朗)さんにしても先を見ながらやっていたと思いますね。特に野村さんはそういう捨て試合のようなのを選手に露骨に分かるようにはしない。うまく疲れのある選手を休ませるんですが、控えの選手に「よしチャンスをもらったぞ!」と思わせるので、負けていても試合に緊張感がありました。だから大きな連敗もしないし、ここぞというところで勝負できたと思いますね」

-なるほど。ヤクルトが今後どのような起用をして後半戦を戦っていくか。今のお話を参考にしながら見ると、楽しみが増えそうですね。お忙しいところありがとうございました。(文・西尾典文)

●西尾典文(にしお・のりふみ)/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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